秦野市水神町の「曽屋水道」が6月16日、国の文化審議会が文部科学大臣に答申した登録記念物に選ばれた。「1890年に竣工した、全国でも極めて早い時代に建設された水道施設」で、文化財としての貴重な価値が認められたかたち。近代水道施設としての登録は全国初となる。今後、事務手続きが進められ、今年中に正式登録される予定。
遺跡や名勝地、動植物、地質鉱物といったもののうち学術上価値のある文化財の総称を記念物と呼び、曽屋水道は遺跡関係の文化財として答申を受けた。
登録対象物は、試掘調査で明治期の沈殿池の一部が検出された曽屋公園(旧曽屋配水場)に現存する大正期の「配水池」や「ポンプ室」、昭和期の「配水池」の他、昔と同位置に残る横井戸の開口部「ロ号源泉」や「ハ号源泉」といった遺構。これらは近代水道の草創期まで時代を追って遡ることができる貴重な文化財だという。
今回の答申により、遺跡関係の登録記念物は全国で9件、県内では初めての登録となった。
住民の力で給水開始
曽屋水道の歴史は古く、当時給水人口4010人(802戸)と小規模ながら、近代水道として横浜、函館に次ぐ、全国的にも極めて早い1890年に建設された。
横浜や函館は国策に基づき建設された施設だが、この曽屋水道は、水道の必要性の認識から計画の策定、施工、資金調達など住民の力で給水が開始されもので、陶管を使用した簡易水道として整備されたのは全国初だった。
市内にある国登録文化財(建造物)としては、2003年に土木構造物の区分で水無川上流の「猿渡堰堤」「山ノ神堰堤」「戸川堰堤」の3件が登録されている。その他、今年3月には、宇山商事店舗兼主屋(寿町)が有形文化財(建造物)として登録するよう答申を受けている。
市の文化財担当者は、「秦野の水は、美味しいだけでなく歴史も深い。市民の皆さんに改めて水道の歴史を紹介し、誇りと愛着を持っていただけるよう努めていきたい」と話している。
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