相模原消防署長に4月に就任した 鈴木 久道さん 緑区鳥屋在住 59歳
一人でも多く救うために
○…相模原市北消防署警備課長を1年務め、今年度から相模原消防署長に就任した。昨年度は、火災発生、救急出場件数とも市内4署内で最多だった同署。署員への訓示では、「市民の目線に立って仕事を」と呼び掛けた。「一人でも多くの命を救いたい」。入庁以来変わらない思いが根底にはある。
〇…中学生の時、警視庁消防部で働いていた父から、「消防は人を助け、人に喜ばれる仕事だ」と聞き、消防士を志した。大きなやりがいと希望を胸に入庁した20代。凄惨な列車飛び込み事故の現場に派遣され、洗礼を受けた。恐怖で足が震え、食事も喉を通らない日々が続いた。工場火災の現場では、自分のすぐ後ろに瓦が落ち、危うく命を落としかけたことも。「自分の身を守れなければ、人を救うことなどできない」。数十年前、そう叱咤した先輩の言葉は今も鮮明だ。部下には確実・迅速な救助に加え、安全管理の徹底を説く。
〇…救急対策課長時代、厚生労働省が非医療従事者へAED(自動体外式除細動器)の使用を認めると、市内公共施設への設置を訴えた。電気的なショックを与え、心臓の働きを戻すAED設置は今でこそ公共施設で当然だが、全国でもほとんど例のない時代。「身近にAEDがあれば救える命がある」。長年救急に携わったからこその想いがあった。市の全庁会議に掛けると、様々な意見も出たが、最後は「(人命に係るなら)やろう」と故・小川勇夫前市長が英断した。
〇…今年度は住宅用火災報知器の普及に向け、地域の自主防災イベントへの署員の参加を計画。消防団や地域の自主防災組織と連携した訓練に加え、警察署、自衛隊などとの関係強化も行っていく。還暦を来年に控え、大きな楽しみもある。昨年結婚した娘が今月出産するのだ。初孫が安心して成長できる相模原へ。安心・安全のまちづくりを誓う。
|
|
|
|
|
|