2012年度日本畜産学会賞を受賞した麻布大学教授 植竹 勝治さん 淵野辺在住 49歳
ヒトと動物互いを幸せに
○…畜産学の第一線で活躍する人に与えられる日本畜産学会賞を受賞。欧米で定められている家畜の輸送時間の制限などが、日本では未だないことに警鐘を鳴らし、長距離輸送される家畜のストレス状態を明らかにした。「家畜管理学は他の分野より歴史が浅い。今回の受賞が後続の人たちの力になれば」。
○…栃木県出身。郊外の祖父母の家で家畜が飼われていた環境が手伝い、幼い頃から身近にいた牛に興味を持つ。「牛を勉強したい」との思いから、帯広畜産大学へ進学。大学卒業後は、農林水産省に勤めた。その後、学会の恩師の後押しもあり、麻布大学で指導を始めて今年で13年。主に行動によって動物が何を欲しているかを判断する、動物行動学を教えている。「机の上だけでおさまらない学問だからこそ、現場を見てほしい」。動物園や行政と学生をつなぐパイプ役でありたいと望む。研究室には熱心な学生が多く在籍していると、顔をほころばせる。
○…休日は4歳と1歳の子どもを連れ、家族で外へ。行先は那須の農園。義父母が育てる野菜の横で、大学の研究対象から外れた羊の世話をする。餌やりや農園の修繕など、普段出来ない外仕事は気晴らしになると、出来る限り毎週末通っている。「食べるためではなく、命を終えるまで大切に育てたい」。嬉しそうに細めた眼からは深い愛情がにじみ出る。
○…転職も受賞も、「周りのサポートがあったからこそ上手くいった」と感謝の気持ちも忘れない。今後は、専攻分野で若手の育成を掲げつつ、地域猫や動物園で飼育されている動物を取り巻く環境の改善など、自身の研究にも取り組んでいく。「ヒトと関わる全ての動物の生活水準を上げたい」。飼育下にある動物により良い環境を提供するため、これからも全身全霊で研究に向き合っていく。
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