6月20日〜22日まで有線七宝で表現したアクセサリーの展示会を行う 今村 久雄さん 上溝在住 73歳
後世に残す繊細な技術
○…七宝焼きの技法の一つ「有線七宝」に長年取り組んできた。金属の素地の上に金、銀、銅などの扁平な針金を輪郭線にそって貼り付ける繊細な技術。「一人でも多くの人に知って欲しい」と田名バスターミナル前のレンタルスペースで自身初となる「有線七宝アクセサリー展示会」を行う。丹念に仕上げた精巧で美しい作品の数々。「気軽に来て頂き、作品世界を味わって欲しい」と目を輝かせる。
○…全国で生涯学習が盛んになった1970年代。金属線を使わず、手軽に仕上げる無線七宝を楽しむ人たちを見て、関心を持つ。一生の趣味として始めるならば、「奥の深い技術を習得したい」と有線七宝を選択。ピンセットの持ち方一つで表現が変わる伝統工芸に魅せられた。自身が題材として選んだのは、浮世絵の世界。写楽や歌麿など、自分が一番描きたい物に挑戦した。版画と違い繊細な線を表現できる有線七宝の浮世絵は、作品展で賞に輝くなど評判となり、多くのデパートにも展示された。
○…子どもの頃から手先が器用だった。草履造りや正月飾りなどもお手の物。仕事では長年、溶接関連の技術者として汗を流した。定年後は、日課の散歩に加え、キュウリやトマトなど、夫婦で家庭菜園にも力を入れる。「良い物が育つと嬉しいね」と笑顔。ものづくりは一生の趣味だ。
○…今回、有線七宝を駆使したペンダント、ブローチ、イヤリングなど、アクセサリーの展示を決めたのは、「多くの人にこの技術を身近に感じて欲しい」と考えたからだ。全国的に後継者が不足していることも気がかりのひとつ。自身の作品を見た若い世代が、「自分も挑戦したい」と感じてくれることを願う。ただ一つ確信するのは、子どもたちの誰もが潜在能力を秘めているということ。だからこそ、「若いうちに様々なことにチャレンジして欲しい」と強調する。「きっと有線七宝を未来につなぐ若者もいるはず」と目を細めた。
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