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伊勢原 トップニュース社会

公開日:2019.04.27

陛下が大山登山された日
関係者が語る当時の様子

  • 山頂から眼下の伊勢原を眺める陛下(関係者提供)

  • 駅北口に掲示されているプリンスルート

  • 当時の資料を読む磯崎さん(左)/器を紹介する天野さん

 「大山詣り」が日本遺産に認定され、注目の大山。複数ある登山ルートに「プリンスルート」と呼ばれるルートがあることはあまり知られていない。由来は新天皇陛下が皇太子さまの時代の2012年に登られたことから。当時の登山の様子を関係者に取材した。

 陛下が大山登山に訪れたのは、2012年5月30日。関係者によると、当初、前年の10月に登山予定だったが公務のため延期に。翌年の5月22日に再度予定が組まれたが、雨のため予備日の30日に行われた。

 陛下は当日、朝7時30分に東宮御所を発ち、9時前に大山阿夫利神社社務局に到着。市営大山第2駐車場で宮内庁や市職員ら参加者と一緒に準備体操をしてから出発したという。

 登山ルートはこま参道を通り、女坂から大山寺、大山阿夫利神社下社に立ち寄り、山頂で昼食。下山途中に見晴台を通り、日向ふれあい学習センターまで山行された。案内人の一人を務めたのは、当時山岳救援隊の隊長を務めていた磯崎敬三さん(76)。登山中は、大山詣りや御師(先導師)、大山の草花について会話をしながら、眼下に広がる相模湾などの眺望を楽しんだという。

陛下の隣で昼食

 休憩時間に陛下の隣で食事をした磯崎さんは陛下に「自分の名前の敬が敬宮愛子内親王の一文字であること、妻が愛子さまと同じ名前であることを伝えると、驚いた様子だった」とエピソードを明かす。

 また休憩中、陛下と磯崎さんの目の前2mほど先に鹿が姿を現すと、陛下は思いがけない出来事に驚いていたという。山頂で陛下は「都内や葉山からも大山が見えていたので以前から登りたかった」と述べ、「大山の歴史と自然を堪能した1日でした」と、感想を話されたという記録が市に残っている。

 磯崎さんは「令和の時代も皆が安心で平和な時代であって欲しい」と話した。

 また市によると、当日までに事前の現地調査や車列訓練、登山道のヤマビル対策を実施。当時、市商工観光振興課で陛下の本隊とは離れた後続隊にいた大町徹さん(現在市広報戦略課長)は「大変感慨深い。陛下は登山中、ペースを乱さず、健脚の印象が残る。気さくにごあいさつしてくださったのも覚えている」と話した。

冷そばと天ぷら

 日向の学習センターに到着後陛下は、着替えをされ、食事をとられた。日向天成園の店主・天野保さん(66)は陛下が召し上がる食事を担当。「当日は緊張してほとんど記憶にない」と振り返る。

 用意したのは冷そばと天ぷら、さらに伊勢原産の芋がらなどの小鉢数種類。「伊勢原のものをお出ししたかった。器はこの日のために有田焼を取り寄せた」と使用した器を前に記憶をたどった。「陛下のお食事を、伊勢原を代表して作れたことはとても光栄」と神妙な面持ちで語る。

 プリンスルートは陛下の大山登山を記念して、市観光協会が作成。伊勢原駅改札横や市商工会事務局などに飾られている。

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