神奈川県全域・東京多摩地域の地域情報紙

  • search
  • LINE
  • MailBan
  • X
  • Facebook
  • RSS
伊勢原版 公開:2013年10月4日 エリアトップへ

被災地の思い 伊勢原へ 福島から日向山荘に油絵

公開:2013年10月4日

  • X
  • LINE
  • hatena
壁に飾った油絵を指差す八木さん
壁に飾った油絵を指差す八木さん

 「被災地の現状に目を向けて。東日本大震災の記憶を風化させないで」。そんな思いが込められた2枚の油絵が、日向にあるキャンプ施設「日向山荘」の食堂に展示されている。絵の作者は福島県伊達郡に住む長谷川亜紀さん(38歳)。今年9月に山荘を訪れた長谷川さんは、福島へ戻ると一週間で絵を描き上げた。長谷川さんをキャンバスに駆り立てたのは一つの出会いだった。

 2枚の絵は、縦横およそ80cmほど。「福島犬は負けないぞ」と題する作品は、津波をイメージした銀色の貝殻に犬が横たわる。震災に負けない福島県人を表現している。もう一方の「福島の復興への祈り」は、地蔵が神の象徴である昇り龍と描かれ、被災地の復興を祈る様子が描かれている。

 もともと心の病を抱えていた長谷川さんは震災後、農家を営む知人ら7人を亡くした。原因は原発による風評被害で皆、自ら命を絶った。こうした出来事が長谷川さんにとって大きな傷となり、心を閉ざす毎日を過ごすことになった。

 そんな長谷川さんを夫や友人がキャンプに誘った。9月14日、日向山荘にやって来た一行は、釣りやバーベキューを楽しみ、つかの間だが震災のつらさを忘れることができた。

 「長谷川さんとはすぐに意気投合。たくさんお話をしました」。日向山荘を営む八木宏さん(55歳)は振り返る。今年7月、ストレスから体調を崩し、入院した八木さん。手術は成功したものの、今も心の病と闘っている。同じ苦しみを持つ長谷川さんと八木さんは互いに打ち解けた。長谷川さんは胸にしまっていた震災の記憶を打ち明けるうち、少しずつ笑顔を取り戻した。その様子に八木さんも元気をもらったという。

 福島に帰るとすぐキャンバスに向かった。イラストレーターの仕事をしていた20代のころによく絵を描いていたという長谷川さんは、一週間で作品を完成させ、八木さんに贈った。長谷川さんは「八木さんに託した絵を多くの方に見てほしい。また伊勢原にも行きたいです」と話している。
 

長谷川亜紀さん
長谷川亜紀さん

伊勢原版のトップニュース最新6

母子手帳とともに絵本を

またよみ協会

母子手帳とともに絵本を

お腹の子に読み聞かせる

5月24日

「好きこそ無敵」

女子プロボクシング世界チャンピオン

「好きこそ無敵」

松田恵里選手 緑台小で講演

5月24日

高校生直木賞で全国へ

自修館添田裕樹子さん

高校生直木賞で全国へ

「楽しんで話したい」

5月17日

公園愛護の7団体を表彰

公園愛護の7団体を表彰

地域での継続的活動称え

5月17日

石田自治会が創設100周年

石田自治会が創設100周年

新会館建設、記念誌を上梓

5月10日

通報現場を「見える化」

秦野伊勢原消防本部

通報現場を「見える化」

スマホで映像を送信

5月10日

あっとほーむデスク

  • 4月5日0:00更新

  • 3月29日0:00更新

  • 1月26日0:00更新

伊勢原版のあっとほーむデスク一覧へ

バックナンバー最新号:2024年5月24日号

もっと見る

閉じる

お問い合わせ

外部リンク

Twitter

Facebook