人間国宝の個展が10年ぶりに―。藤沢市民ギャラリー第1・2展示室で2月15日(火)から27日(日)まで、友禅染の人間国宝、田島比呂子(ひろし)氏の作品展が開催される。ここ10年間で、田島氏は日本伝統工芸展への出品と1度の個展しか開催しておらず、今回は、新作などが並ぶ貴重な展覧会になりそうだ。
田島氏は1922(大正11)年に東京で生まれ、14歳で友禅染の世界へ足を踏み入れた。その後、戦争を経験、24歳で復員したが2年後に肺結核に侵され闘病生活を送った。30歳を過ぎて友禅染制作を再開、50歳を前にして藤沢市鵠沼海岸に移り住んだ。
現在、友禅作家で人間国宝となっているのは日本で3人。田島氏は、1999(平成11)年に重要無形文化財(友禅)保持者(人間国宝)に認定、また同年、名誉市民にも選定された。翌年、藤沢市初となる「田島比呂子・友禅展」も開催。本人の講演会も実施され、5000人以上が訪れた。
約10年ぶりとなる今回の作品展は、遠山記念館(埼玉県)の学芸員、水上嘉代子氏が「友禅いろは話」をテーマに講演。また、09年に制作された田島氏のドキュメンタリー映画「創作に生きる 友禅作家・田島比呂子」の上映も。
同映画の発案者で、制作の際、田島氏に取材を行った市生涯学習課の徳重敬子さんは、「友禅の作品は残るが、技術そのものも後世に残したかった。田島氏は、試し染めでさえ手を抜かず、自分が納得するまで8回描き直し、作品を作り上げていた」と話す。特に、色の混ざりや滲みを防ぐため、彩色する箇所の輪郭を糊で防染する「糊置き」という技法は、気が遠くなる作業だ。田島氏の作品は、着物1点で200万円以上の値が付くものもある。
徳重さんによると、田島氏は、結婚を機に静養のため、温暖で穏やかな気候の鵠沼海岸に転居したという。自身の作品は、鶴を題材にしたものが多いが、中には鵠沼海岸に飛来するユリカモメが描かれた作品などもある。
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