藤沢市の花として、市内各所に根付く「藤」。稲荷山成就院(じょうじゅいん)(藤沢市大庭8157/塩澤和弘(わこう)住職)の藤棚には「野田藤」が咲き誇り、見ごろを迎えている。「六尺藤」とも呼ばれるこの藤は、檀家の渡部儀平(わたなべぎへい)さんから譲り受けたものという。
成就院の藤棚に咲き誇る藤は、今から40年ほど前、渡部さんが天満宮付近(長後)の雑木林を伐採したときに、太い藤の木を見つけたことがはじまり。渡部さんは「立派だったから」と藤の木を自宅へ持ち帰り、庭に移植した。花を咲かせるために、当時勤めていた会社の中庭にあった藤の穂を接木、花を咲かせることに成功し、以来、丹精こめて育ててきた。
しかし10年ほど前、自身が高齢になり、世話をするのが大変になったことと、長男を亡くしたことがきっかけとなり、菩提寺である成就院へ寄贈することとなったという。渡部さんは「お寺で大切に育ててもらっているので嬉しい。心の慰めにもなっている。たくさんの人に見てほしい」と思いを語る。
藤を譲り受けた塩澤住職は、「花いっぱいのお寺にしたいと思っていた。この藤は、渡部さんがずっと大切に育ててきた思いの詰まった藤なので、これからも大切にしていきたい」と話している。
例年より早い開花
成就院の藤は、例年だと5月上旬から5月中旬にかけて見ごろを迎えるが、今年は3月の気温が高かったことから、2週間ほど早く見ごろを迎えているという。
同院では、「長いときには1m50cmくらいまで成長する。上の方の花から咲き始め、順番に見ごろを迎えるのが特徴。一般の方も見に来てください」と話している。
この藤は、現在樹齢80年ほど。渡部さんの思いは受け継がれ、毎年花を咲かせることだろう。
問い合わせは成就院【電話】0466・81・1106へ。
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