藤沢市の近海で水揚げされる水産物が近年減少傾向にある。昨年は過去10年間で過去最低の水揚げ量を記録。今年の夏は相次ぐ台風で漁獲の大部分を占める定置網が仕掛けられなかったことや、全国的な水産資源の減少もあり、漁業関係者らは危機感を募らせている。
市内全体の漁獲量は年間約1千t。そのうちの9割が定置網漁業で賄っている。トップシーズンは5月から8月。市や漁協関係者によると、台風や黒潮の蛇行などにより水揚げ量は減少の一途を辿っているという。
昨年は台風21号の影響で網が破損する事態に見舞われた。今年は台風の被害から網を守るため、7月末から網を引き揚げている。荒天によって漁に出られなかったり、全ての網が投入できていないことによる不漁の影響は大きい。そのほか潮の流れや海水温の上昇などが原因で魚が例年に比べ少なくなっていることも悪条件に拍車をかけているとみられる。
昨年の水揚げ量は全体で約800t。うち定置網は年間で703t。1035tだった2016年と比べると約3割減となったが、今年はさらに量が減る可能性がある。
江の島片瀬漁業協同組合は「春の連休は良かったが、7・8月は台風の影響で網を入れられなかった。昨年の7割ほど獲れた量が減っている感覚」と話す。
放流事業に尽力
一方、水産資源の保護と増殖に向けた動きもあり、藤沢市では放流事業に尽力。01年からは補助金を設け、稚魚や稚貝を放流してきた。
不漁で魚類の水揚げ量が減少傾向にある一方で、かながわブランドにも指定されている「湘南はまぐり」の水揚げは江の島や鵠沼海岸、辻堂などで好調に推移。市によると、ほぼ確認できなかった個体数が次第に増え、昨年は4・6tが水揚げされるまでになった。そのほかにも、定置網漁業や刺網漁業の部門ではマダイやヒラメ、カサゴ、トラフグ、サザエの5品目で補助金を出し、放流を行っている。
漁協関係者は「色々な条件が重なり、不漁が続いた。9月以降、安定した水揚げ量が確保できれば」と話している。
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