晩年を鵠沼で過ごし、おとぎ話の絵本原画などで数多くの作品を残した黒崎義介(1905―84)の回顧展が、鵠沼市民センター内の鵠沼郷土資料展示室で始まった。作家活動の一方、戦後高度経済成長期の藤沢の文化振興に尽力した、その生涯を紹介している。来年2月15日まで。
社会教育普及の立役者
黒崎は長崎県平戸市の出身。「キンダーブック」や「コドモノクニ」などの絵本や児童読み物で60年来作品を描き続け、童画のジャンルを確立させたことで知られる。47歳のとき鵠沼海岸に移住後は鵠沼公民館の設立に賛同し、準備構想に加わったほか、藤沢市文化財保護委員や市社会教育委員も長く務めた。
同展は、黒崎の画業や地元とのゆかりを知ってもらおうと、同資料室運営委が企画。会場には童画や日本画、藤沢の風景を描いたスケッチの複製など約2千点を展示した。
委員長の中島知子さん(88)は「色使いが鮮やかでキャラクターの表情も穏やか。どの作品を観ても心が穏やかになる」と作品の魅力を語る。
公民館とのゆかり紹介
特にスポットを当てているのが、黒崎と鵠沼公民館との関わりについて。公民館は49年に法制化。政府や占領軍が設置を推進したが、ほとんど前例がなく、高度経済成長期にふさわしいあり方を市職員や住民らと議論し、同公民館は59年、市内2カ所目に開館した。
黒崎はその後も絵画だけでなく、写真や茶道など幅広い講座で講師を務め、79歳で急逝するまで毎日のように足を運び、社会教育の拠点としての同館を支え続けたという。
「いつも温和で、きめ細かく指導してくれる先生だった」。20代の頃、同館で墨絵の手ほどきを受けた関根次郎さん(77)は当時を懐かしむ。
副委員長の内藤喜嗣さん(82)は「鵠沼だけでなく、藤沢の文化振興のモデルを築いた立役者。その功績や公民館が元々どのような場所なのか、訪れる人に知ってもらえたら」と話した。
入館無料。開館は午前10時から午後4時。月曜休館。問い合わせは同展示室(鵠沼市民センター内)【電話】0466・33・2001へ。
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