西富の遊行寺境内にある市の天然記念物「大イチョウ」が台風19号による強風で折れたことが分かった。幹が大きく割け、一部が折損。境内のシンボルとして親しまれていた巨木の痛ましい姿に、関係者からは悲嘆の声が上がっている。同寺によると今後専門家による調査を経て、修復と再生を試みるとしている。
大イチョウの樹高は約21m、市内でも最も太い木で幹回りは約7mある。樹齢は700年を超え、1971年には市の天然記念物に指定。晩秋に枝先を彩る黄葉は美しく、地域の風物詩としても親しまれてきた。
庶務執事の舘野善道さんによると、12日午後8時30分頃、地響きのような「ドーン」という音が聞こえてきた。境内を確認するとイチョウの一部が縦に割け、幹ごと倒れていた。「前回の台風15号は持ちこたえたので、まさかあれほど被害が出るとは。言葉も出なかった」。翌早朝、僧侶ら総出で枝などを撤去したという。
幹は一部内部が腐食しており、割けた部分が露になっている。14日、境内で和菓子を販売している80歳の女性は「子どもの頃から当たり前にあった木。こんな痛ましい姿になってしまって泣くに泣けない」、墓参りで訪れていた戸塚区在住の40代女性は「木陰は憩いの場で、昔は東海道を旅した人も足を休めたのだと思う。本当に残念」と話した。
イチョウが枯れずに済むかは不明だが、今後樹木医などに診断を依頼し、対応を検討するという。舘野さんは「40年前にも台風で同様の被害があったが無事再生した。700年来の樹木。生命力を信じたい」と話した。
一時4千人が避難
大型で強い台風19号は市内でも猛烈な風雨をもたらした。市は12日午前10時15分に河川周辺や沿岸部などに避難勧告を発令。小中学校や市民センターなど市内計74カ所で避難所が開設され、最大で一時約4千600人が身を寄せた。市によると台風による強風で2人が軽傷、建物一部損壊が33件など被害があった。
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