1661(万治4)年に建立され、江戸時代には大山道の起点として住民や詣で客に親しまれた「一の鳥居」。近年は経年による劣化が激しかったが、四ツ谷町内会(磯崎三郎会長)の努力と大山阿夫利神社(目黒仁宮司)の全面的な支援を受け、先月無事に補修工事を終えた。
田村通り大山道一の鳥居(城南1の1の31)の補修工事が先月7日、完了した。同鳥居は国道1号線と県道44号線が交差する四ツ谷交差点の付近にあり、高さ約5m80cm、幅は約4m。
大山阿夫利神社への参詣者が通った大山道の中でも、東海道や藤沢宿、江の島とも通じていたため、かつて賑わいを見せた田村通り大山道。その起点として350年以上前に建てられた同鳥居は、最近では1923(大正12)年の関東大震災で大きな損傷を受けた。その後1959(昭和34)年に復興整備されて以来、小規模な補強工事はあったが、本格的な修復工事は今回が初めてという。
同鳥居は全体的に損傷が進んでおり、特に左右の柱を固定する役割の「貫(ぬき)」という部分が著しく劣化していた。剥離した建材が落下する事例などもあり、約5年前から本格的な対策が求められていたが、費用の問題から実現には至らず、一部には撤去などを求める声もあった。しかし「歴史ある文化財を可能な限り残し、伝えてゆく」という信念のもとに、磯崎会長が関係各所を粘り強く説得。昨年3月11日の東日本大震災による、建造物の安全性への意識の高まりも後押しし、今年3月に同神社が全面的に支援する形での補修工事が決定した。
4月9日から開始した補修工事は、傷んだ貫部分をモルタルとエポキシ樹脂の併用で補強したもの。構造的な強度を高めるだけでなく、表面の建材が剥がれ落ちる事故も防げる工法で、費用は約150万円という。
6月3日に補修完了式典
工事の完了を記念し、同町内会では6月3日(日)に記念式典を行う。この式典は同鳥居の下で行われ、藤沢市の行政・教育関係者のほか、大山阿夫利神社のある伊勢原市からも来賓が参加する予定。また古文書に残る伝統的な出し物の「お花講」を再現するというアトラクションも行われる。一般の参加者も見学可能。
今回の補修工事のための活動の中心となった磯崎会長は、「歴史的な建造物を残すという使命感が原動力。今後もこういった活動は続けていく」と話した。
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