経済的な理由で大学や専門学校への進学が難しい子どもを支援する藤沢市の「給付型奨学金制度」について、市は進学先を医学部・歯学部に限定した新枠を設けると明らかにした。今年3月、73歳で他界した藤沢市出身のオペラ歌手、故・白石敬子(しらいしひろこ)さんの遺志を受けたもので、2020年4月の入学生から給付する。
故・白石さんの遺志受け
藤沢市は17年4月から同制度の運用を開始。奨学金の返済義務はなく、従来の3人分の奨学生枠(進学先の学部指定なし)に加え、医学部か歯学部への進学を希望する1人分の枠を新たに設ける。新枠は「白石敬子奨学金給付事業」と冠し、白石さんが今年1月に市の教育応援基金に寄付した5千万円を活用する。
白石さんは武蔵野音楽大学卒業後にウィーン国立音楽大学に留学。国際コンクールで入賞を重ね、76年にはウィーン国立歌劇場で日本人初の専属歌手として活躍した。帰国後は藤沢市の「市民オペラ」にも出演。04年にがんが判明してからも治療を続けながら、リサイタルやチャリティー活動に積極的に取り組んだ。
次代担う若者へ
白石さんの曾祖父、小笠原東陽は明治期、県内では屈指の中等教育機関として知られた私塾「耕余塾」を市内で開いた。市の基金に寄付した際には東陽のことに触れ、「その精神を受け継いでいきたかった」とコメント。次世代を担う若者に向けて「音楽も大変でしたが、特に医学は経済的に大変ですので、その教育支援事業に役立ててください」と言い残していた。
新枠の対象者には入学準備金30万円と入学後は6年間毎月6万円(いずれも上限金額)が支給される。対象者は▽合計所得266万円未満(給与収入の場合、年収400万円未満)世帯の子ども▽生活保護受給世帯の子ども▽児童養護施設の入所者または退所者―のいずれかに該当する人。原則、高校2年の学年末の評定平均が3・7以上で20歳まで申請できる。
20年度の初年度分について市は、19年6月から募集を開始し、7〜9月の選考を経て10月に対象者を決定する方針。
問い合わせは市教委教育総務課【電話】0466・50・3556へ。
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