過去に藤沢市に寄付されるはずだった辻堂東海岸の旧公園用地300平方メートルが、民間会社の進める宅地開発で売却される見通しであることが分かった。1975年当時の藤沢市長と旧日本電信電話公社(現NTT)の代表者が協議書を交わしていたが、履行されないままになっていた。現在は開発事業者が別法人格になっていることから、市は「履行を求めることは困難」としている。
旧公園用地「1億円相当」
場所は辻堂小学校近くにある旧NTT社宅跡地内。現在は土地所有者のNTT都市開発が41区画の宅地開発を進めている。
協議書には同敷地6458平方メートルの開発行為の条件として、敷地内に300平方メートルの公園を整備し、市に寄付することなどを記載。本来は寄付を受けて市有地となるはずだったが「事業者から工事完了届を受理しておらず、市有地として登記できていない」(市開発業務課)という。
市などによると、昨年4月頃に完了届が出ていないことが判明。市は同年10月にNTT東日本から所有権が移ったNTT都市開発に協議書の履行を求めたが、「履行は困難」との回答があった。
寄付予定地は現在の土地価格で「約1億円相当」(山内幹郎市議)という。市の責任について、同課は本紙の取材に「市が完了届の提出までを管理すべきで、当時の対応が誤っていた」と非を認めた。一方で「(履行に関する)法的な効力はすでに失われており、現状は開発事業者にお願いすることしかできない」と説明した。
「松の通学路守って」
この問題を巡っては、同敷地の西側歩道と植栽されているクロマツの保存を求める周辺住民が市に情報公開請求をして明らかになった。歩道は現状辻堂小学校の児童が通学路として利用しており、「開発によって児童の安全が損なわれる可能性がある」として、計画の変更を求めている。
11日には「辻堂東海岸のNTT社宅跡地開発から西側歩道と松を守る会」が発足。現状の計画で開発許可を出さないよう、市に働きかけていくとしている。
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