新型コロナウイルスの感染者急増を受け、県が22日以降、藤沢市を含む県内ほぼ全ての市町で「まん延防止等重点措置」を拡大したことを巡り、市内の飲食店関係者からは「また酒が出せなくなるのか」と落胆する声が相次いだ。要請に従うとする声の一方、度重なる要請に休業や通常営業に踏み切る店もあり、飲食店が置かれる苦境が深刻化している。 (20日起稿)
県は重点措置を「神奈川版緊急事態宣言」と位置づけ、対象区域では午後8時までの時短営業とともに酒類の終日提供停止を要請する。期間は8月22日まで。
「もう守っていられない。従業員の生活もある。要請には従わない方向でいくことになった」
市内の韓国料理店に勤める男性スタッフは窮状を訴える。これまで全ての要請に従ってきた。だが協力金ではとても売上を賄えず、通常営業に踏み切ることに。大口の団体客は断り、6人以上は席を分けてもらうなど独自の対策をするという。
藤沢駅北口にある居酒屋店主は発令期間中の休業を決めた。5月は食事提供だけで営業を続けたが、「コンビニでバイトをした方が稼げるくらい売上が厳しかった」。発令までの期間が短く、在庫のビールや食材をどうするか頭を悩ませる。
飲み放題が売りの別の居酒屋は当面要請には従う方針だが、胸中は複雑だ。前回応じた際、周辺では従わずに通常営業し、賑わう店があった。同店店長は「違反した店が罰則を受けたとは聞えてこない。もし周囲の店が(通常営業を)やるなら、足並みを揃えるかもしれない」とこぼす。
海の家にも打撃
要請による打撃は、かき入れ時の海の家にも直撃した。2年ぶりに開設された片瀬西浜・鵠沼海水浴場では今夏、28店舗が出店。江の島海水浴場協同組合は19日、臨時理事会を開き、酒類停止の終日要請に応じることを決めた。
だが、関係者には不満もくすぶる。昨年は休業した海の家に協力金が支払われることはなく、建材の維持費だけがかさんだ。さらに発令期間は海水浴場開設期間の一番の繁忙期。理事の一人は「要請を無視する飲食店には人が集まり、正直者が馬鹿をみる状況では宣言も響かない。『右へ倣え』とはいかないかもしれない」と危惧する。
森井裕幸理事長は要請に応じるのは苦渋の決断としつつ、「オープンエアーの海の家は街の中の飲食店と環境が違う。なぜ一律の要請なのか」と疑問を呈した。
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