タウンニュース茅ヶ崎版では、年頭企画として服部信明茅ヶ崎市長にインタビューを行い、2013年の街づくりや重点施策、抱負などについて聞いた。(聞き手/本紙・茅ヶ崎編集室 中島正裕)
――あけましておめでとうございます。まずは昨年の茅ヶ崎について振り返って頂けますか?
「昨年は、茅ヶ崎市にゆかりのある方々が、様々な分野で活躍された一年であったと思います。
なかでも、女子野球日本代表の出口彩香選手は、第5回IBAF女子野球ワールドカップに出場し、見事優勝されました。その功績をたたえ、本市7人目となる市民栄誉賞をお贈りしました。その姿は、子どもたちをはじめ多くの市民の皆様に夢と希望を与えて下さいました。
また、市民の皆様には、昨年4月より本格スタートいたしましたプラスチック製容器包装類などの新たな資源物の分別収集の取り組みや、地域での防災力向上を目指した様々な取り組みを積極的に推進していただきました」
――市役所庁舎の建て替えについてですが、昨年基本設計や概要が公表されました。これまでの経過や今後のスケジュールなどについて聞かせてください。
「市役所本庁舎の建て替えにつきましては、2006年2月から検討を開始し、これまで約6年間という歳月をかけ、多くの市民の皆様、市議会や有識者と時間をかけて協議してきた継続的な事業です。
現在、2011年12月に策定しました「茅ヶ崎市役所新庁舎基本計画」を基に、市民ワークショップや意見交換会などでいただいたご意見やご要望を参考にしながら設計を進めており、新庁舎の配置、人や車の動線、平面計画、環境や防災に関する機能の考え方などをとりまとめた「茅ヶ崎市役所新庁舎建設基本設計」が2012年11月に完成したところです。
市役所は、平常時には市民の皆様の大切な情報をお預かりし、サービスを提供する市民の暮らしを支える拠点である一方、災害時には被災者の早急な支援のために初動体制を確保し、本市における復旧・復興の災害対策拠点となります。また、市民の皆様の交流の場として、新庁舎には市民活動の成果の発表、作品の展示やミニコンサートなど多目的に使用できる「市民ふれあいプラザ」を市民ワークショップでいただいた貴重なご意見を参考にしながら整備する計画としております。このように、市民に開かれ、よりきめ細やかな市民サービスの提供ができる『市民の生命と暮らしを守る安全・安心の拠点となる「新しい市役所」』の実現を目指しています。
今後も引き続き実施設計におきましてユニバーサルデザインや機能面などの更なる検証を進め、2013年度中の実施設計完了及び建設工事着工、2015年度中の供用開始を目指して事業を推進してまいります」
――現在、東日本大震災から2年近くが経過しましたが、震災以降の防災対策についてお聞かせください。
「昨年は、茅ヶ崎市防災対策強化実行計画の着実な実行に取り組んでまいりました。
行政内部での防災体制につきましては、災害対策本部に情報を集約することのできる設備を整え、新たに組織として設けた統括調整部が、災害発生時に迅速な初動体制をとることができるよう、実践的な訓練を実施してまいりました」
防災、福祉にも注力
総合計画は第2ステージへ
「また、地域防災力の強化を図るため、地域の皆様、自主防災組織の皆様と様々な協議を重ねながら、ハード、ソフトの両面から対策を進めてまいりました。
地震発生時の延焼火災の危険度が高い地区が多い本市では、どの地区でも初期消火訓練を実施しておりますが、昨年度の新たな取り組みとして、地域が独自に初期の消火活動を行うための小型ポンプによる消火訓練を取り入れていただいた地区があります。今後は、さらに新たな初期消火のための資機材整備に着手し、延焼防止対策の推進に努めます。
ソフト面でも、災害時に要援護者を支援するための方策を各地域で検討していただくため、自治会、民生委員児童委員、地域支援者等と要援護者との交流会を各地区で開催し、顔の見える関係づくりを進めてまいりました。
津波対策といたしましては、津波一時退避場所の確保に努め、136カ所(注・12月1日現在)を指定いたしております。3月10日には、沿岸の市民の皆様のご協力をいただき、津波避難訓練を行う予定です。
情報の受伝達手段も大切です。このことを強化するため、災害発生時に防災拠点となる小中学校にトランシーバーやワンセグテレビを配備し、MCA無線の拡充、エリアメールの導入、tvkデータ放送の運用開始を行ってまいりました。また防災ラジオを試験的に導入し、現在有効な活用方法を検討しており、来年度の早い段階で、対応策を打ち出してまいります。
帰宅困難者対策として、民間施設と受け入れ協定を締結し、備蓄資機材を配備するとともに、必要な時に連絡を取り合えるよう、MCA無線を配備しました。
また現在改訂作業を進めている「茅ヶ崎市地域防災計画地震災害対策計画」につきましては、東日本大震災の教訓を受けて全面的に見直し、4月に公表する予定です。減災に取り組む体制をさらに強化し、災害に強いまちづくりを推進してまいります」
−茅ヶ崎の将来あるべき姿について、新総合計画のことを交えてお伺いします。
「2011年度からスタートした茅ヶ崎市総合計画第1次実施計画では、全ての事務事業を実施計画事業と位置づけ、毎年、評価を行いながら、効率的・効果的な事業の実施に努めてまいりました。
今年4月からは第2次実施計画がスタートします。新たな計画では超高齢化社会の到来に備え、保健・福祉の政策課題にさらなる取り組みが求められており、同時に、将来を担う次世代の健やかな育成も重要な政策課題として捉える必要があります。今回の実施計画にある全ての事業は、総合計画に位置づけた市政の基軸である「新しい公共の形成」と「行政経営の展開」を踏まえ、市民、市民団体、事業者との協働、民間活力の導入を積極的に推進し、サービスの充実を図るとともに経営的な感覚をもって取り組んでまいります。
将来の都市像である「海と太陽とみどりの中で ひとが輝き まちが輝く 湘南・茅ヶ崎」の実現に向け、「ひとが輝く」「まちが輝く」茅ヶ崎を目指してまいります」
−子どもたちや高齢者が安心して暮らせる新たな施策はありますか?
「子育て施策としては、2010年度より子育て支援と児童虐待予防を目的とした「そだれん(怒鳴らない子育て練習講座)」の普及に取り組んでいます。この講座は「子どもを怒鳴ったり、叩いたりしてしまう」といった悩みを持つ保護者に、子どもの誉め方やしかり方など、しつけの技術を身につけてもらうことで、親子関係の改善を図る取り組みです。受講者が既に300人を超えるなど大変好評なため、この「そだれん」を身近な地域でより多くの方々に受講していただけるよう、事業の充実を図ってまいります。
昨年7月には子育てポータルサイト「FuBoLaboちがさき」がオープンしました。このサイトは2012年度の市民提案型協働推進事業「インターネットを活用した子育て支援事業」として運営しています。利用者のアンケートでは、7割以上の方が掲載しているイベントへの参加や施設を利用しており、子育てに活用されていると実感しております。また、保育園待機児童解消の施策として、昨年は、新たな保育園2園の建設と1園の増築を行いました。さらに、賃貸借型保育園の整備の公募を1園行い、2013年度中には232人の定員増を図る予定でおります。
次に高齢者への施策としましては、地域の生活課題や介護保険をはじめとする福祉制度の狭間を埋めるため、地域のボランティアが支え合う拠点としてスタートした地区ボランティアセンターが、昨年に市内12地区全てに設置されました。また地域包括支援センターにつきましても、2013年度に2カ所増設し、2014年度中に全地区への設置に向け準備を進めております。安全・安心・健康を確保するため、様々な生活支援サービスが身近な圏域で適切に提供できるような地域の体制づくりに努めてまいります」
−最後になりますが、茅ヶ崎市民に向けてメッセージをお願いします。
「今年は、茅ヶ崎が大きく変わる年だと考えております。2014年度に全線開通が予定されている「さがみ縦貫道路」が、部分的に開通し、昼間、本市に滞在をされる方々の数も飛躍的に増加していきます。こうしたことを、まちのさらなる発展のチャンスと捉え、あらゆる面でより積極的にまちづくりの取り組みを進めてまいりたいと思います。
また、今年は大岡越前守忠相公との関係で、本市と愛知県岡崎市がゆかりのまちを提携して30周年を迎えます。両市の交流を深めるため、様々な記念事業を企画する予定ですので、皆様の積極的なご参加をお待ちしております。
本年も市民の皆様にとりまして素晴らしい年となりますよう祈念いたしまして、新春のメッセージとさせていただきます」
ありがとうございました。
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