年頭所感 "カオス(無秩序社会)からコスモス(秩序社会)へ" 打つ手は無限 茅ヶ崎商工会議所 会頭 田中賢三
平成25年の新春を迎え謹んでお慶び申し上げます。
昨年は社会・経済ともに山積する大きな課題を抱え、加えて空前の超巨大震災の翌年ということもあり、また国際的にもユーロ圏や中国問題など世界からの影響を大きく受け、カオスのような年でありました。
そのような中で、当商工会議所では急速なグローバル化と今後の地域社会のあり方をテーマに、インドネシアの経済視察研修会を実施いたしました。インドネシアは1800年頃から1950年頃まで約150年間にわたって、オランダの統治下に置かれていました。しかし現在の状況からみて、オランダから学んだという姿は見当たりません。今のジャカルタは超近代から前近代が同居しており、街はカオスの状態でオランダが遺していった歴史的文化財は一部を除いてほとんどが壊されたままで修復されていません。
美しいオランダから学ぶという向上心というものが見受けられず、文化的に未開を感じましたが、アジアにはこのような状況の国が多いことも事実です。事業の発展を目指すのであれば「アジア地域に打って出よ」と言われるのも当然のことと感じる訳です。どんな事業にも目に見える形で打つ手は無限であります。
一方、日本の社会もカオスですが、これは街がカオスということではなく、行き過ぎた市場経済主義と自由主義が一つの大きな原因になっているのではないでしょうか。
これらは地域社会を潤さず、グローバル化は国を潤す仕組みがまだ整備されていません。熾烈な競争を勝ち抜いた者が、消費者である国民や市民の利益にかなっていて「善」とする考え方は、果たしてそれだけでよいのか疑問を抱かざるを得ません。それは、社会貢献を十分に果たしていないからではないでしょうか。意欲のある企業は利益を追求するため、あるいは消滅を防ぐため、海外や地域外に必然的にせよ出ていくことが出来ます。
しかしながら、国や自治体は外に出てゆくことは出来ません。そして大多数の国民も母国に定住することを望んでいるのです。収支の厳しい予算の中、国も自治体も公共投資をしたり産業の育成もします。
しかし強者有利の市場経済のみを「善」とするならば、国の公共工事は中国や韓国企業が落札し、地域の公共事業は東京に拠点を置く内資・外資に集中することになり、誰のための公共投資であるか、その理念を問われることになります。
茅ヶ崎でも風向きを変えるとき
一例を上げれば、カリフォルニア州の景気対策や失業対策で、橋や道路整備などの公共事業をコスト競争において受注したのが多くの場合、中国企業であったという新聞記事がありました。もちろん、アメリカ市民から「自分たちの税金で中国を潤している」という大きな非難を浴び、これを反省して今のアメリカは、地域社会あるいは国益を最優先にしております。
日本でも、そして茅ヶ崎においても、そろそろ風向きを変える時が来ているのではないでしょうか。課題の多いことを重圧と考えるより、一つずつ解決に向けて努力することで、それが地域力となり、全てを良い方向に導くことになります。地域社会にいる私たちは、公私を問わず全ての活動において、従来からの飛躍を目指すには、やることが無尽にあるはずです。
それぞれの持ち場で打つ手は無限と心得て、カオスからコスモスへと向かって今年も頑張っていただきたいと心より願っております。
結びに、本年も皆様のご繁栄とご健勝を祈念申し上げまして、年頭のご挨拶といたします。
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