毎年11月第3木曜日に解禁されるワイン、ボジョレ・ヌーボー。今年は11月16日に解禁日を迎え、ワイン党をにぎわせている。そんな中、藤沢小売酒販組合茅ヶ崎支部青年会(水越勝彦代表)が主体となって開発し、15年前に市内を風靡した「茅ヶ崎ワイン」を取材した。
2000年1月、茅ヶ崎市商店会連合会が商業活性を目的に、消費者との連携強化を提案。市民グループ「ちがさき・ごみ会議」と手を組み「エコ・シティ茅ヶ崎委員会」を立ち上げた。当時の市ごみ減量対策課ともタイアップし、「リデュース」(発生抑制)「リユース」(再使用)を中心とする新たな環境活動に取り組むことになった。
活動の1つ再利用可能な「リターナブルびん」の推進に取り組んだのが同組合の青年会だ。地域の酒屋は元々、牛乳のようにビールなど中身入りのびんを配達し、空きびんを回収していた。しかし当時大型店や酒造メーカーはコストや手間を避け、缶ビールの販売を優先する傾向にあった。
青年会は「茅ヶ崎酒販組合リターナブル企画」を立ち上げ、2001年12月にリターナブルびんをアピールできる新商品としてワインの開発を企画した。中身のワインの生産は山梨県のワイナリー「甲州葡萄酒本舗」に依頼し、ラベルは市民公募を行った。
当初は赤ワイン720ml、100ケース1200本生産する予定で「酒屋の多くが、新商品開発は初めて。売れ残りを覚悟していた」と水越代表。しかし、予約を開始すると応募が殺到。300ケースの注文が入り、販売開始後は売切れも続出した。味の評判も上々で、2003年6月には白ワインも発売。購入者向けに生産元のワイナリーへの特別ツアーなども実施された。
びん戻らず生産不能に
しかし、肝心のびんが帰ってこなかった。びん回収時のデポジット金を通常の5円から50円にしたが、市内での回収率は13%。水越代表は「おみやげや贈答品として購入されたり、記念にびんを残した人も多かったと聞く」と振り返る。追加生産は不可能になり、赤ワインは売切れ。現在は水越代表の寺田酒店など、市内の酒販店にいくつか残る白ワインが最後になる可能性があるという。
水越代表は「市のごみ減量対策課も再編されてしまい、青年部も高齢化、さらに酒屋自体も減少傾向と周囲を取り巻く環境は難しくなってしまった」と残念がるも、「リターナブルびん自体の周知はまだ継続している。また、お土産用の茅ヶ崎ワインを独自に生産している酒屋もある。活動の灯は絶やしたくない」と話した。
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