▽「お金がない」。茅ヶ崎市政について話せば、よく耳にする言葉だ。市役所建て替え、文化会館リニューアルなど公共施設整備で発行した市債(市の借金)の返済が、本格化しているためである。2020年に市は財政健全化を3年計画でスタートさせた矢先の、コロナショック。財政難は当面続きそうだ。
▽「人があたたかい」。市民性がテーマなら、こちらも頻繁に登場するワード。「お金がない」状況でこれまで新小学1年生へ市から無料配布してきた『黄色い帽子』は、新年度から有料化となり、家庭負担に。黄色い帽子は、過去の予算ベースで約180万円。家庭負担となれば、1個1000円ほど。これを本紙2020年12月11日号で報じたところ、「あたたかい人」が2者現れた。市内の第一カッター興業(株)、(株)ウェブデモだ。「子どもの安全を守る帽子が、市の予算から外れるのはおかしい」。そんな思いから2者が市役所へ連絡し前者が黄色い帽子、後者が横断旗を買って寄贈した。
▽なぜ、黄色い帽子の予算がカットされたのか。お隣の平塚では、無料配布の帽子を全学年で着用している一方、茅ヶ崎はほとんどの学校で1年生の1年間だけしか使われていないことに一端がある。この春に企業から寄贈された黄色い帽子はLサイズ。安全確保の上で、少しでも長く被ってほしいという思いが込められており、市もそう促していく方針だ。結果的には、行政、学校、地域によって帽子の存在意義が見直され、市民の目が児童の安全に向けられる機会となった。
▽茅ヶ崎市は厳しい財政運営が続く中、無駄遣いは決して許されない。物事の必要性についてさらなる議論と検証も必要だ。持続可能な街づくりへどうしても困った時には、市民から協力を得るのもひとつの選択肢。寄付、クラウドファンディング、ネーミングライツといったお金だけではない。市民のアイデアやマンパワー、民間のノウハウを貸してくれるかもしれない。時代の潮目を迎え、これまで以上に柔軟な舵取りが求められる。
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