9月30日に第72回関東合唱コンクールに出場する湘南高校合唱部顧問の 岩本 達明さん 56歳
広がれ、楽しい音楽の輪
○…31校が出場した「第60回神奈川県合唱コンクール」で、一位通過の金賞を受賞した湘南高校合唱部。課題曲と自由曲ともに表現が難しいテーマだったが、指導者として生徒たちを見事まとめあげた。「よく歌い上げてくれ、さらに最高の評価を頂けたことは何より嬉しい」と笑顔。「関東のステージまでに声の響きをさらに豊かにし、持続力を高めることが課題。トレーニングを前日まで重ね、レベルアップしたハーモニーを次の舞台で披露してもらいたい」。日々成長する生徒たちの可能性に期待する。
○…川崎市出身。物心ついたころから自然と合唱好きになったという。その気持ちの強さは自身が高校生の時に男友達を連れ、女子部員だけだった合唱部を混声合唱部にしたほどだ。進路は「若い人たちに音楽の楽しさを伝え、一緒になって感動したい」と音楽家ではなく、指導者を志望した。
○…多摩高校や弥栄高校を経て、湘南高校に赴任したのは5年前。東京2大オーケストラの首席指揮者を輩出した合唱部は、かつての勢いを失っていた。テコ入れをすべく、歌う楽しさを生徒へ根気強く語り続けた。その努力が実を結び、今では部員が67人に増え、コンクールで賞を獲れる全国屈指の有力校に育て上げた。
○…「合唱が楽しくてしょうがない」。声にせずとも身振り手振りで伝わってくる。「仲間と一つのハーモニーを作り出す過程が合唱の醍醐味。私自身は生徒に教えるというより、遊んでもらっている感覚」と笑う。生徒からの愛称は「ヤンパ」。リズムを指導する際に口ずさむフレーズが由来だ。「コンクールの成績も大切だが、楽しさに気付くことが一番」。定年を迎える5年後は創部75周年で、開校100周年の節目。「プロのオーケストラをバックに、セリフや踊りを交えた合唱を披露したい」と夢を膨らませる。生徒に負けず合唱を愛し、楽しみながら今日も軽快にタクトを振るう。
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