山下泰裕氏から「指導のモデルケース」
夜の平塚市総合体育館。地下にある柔道場では毎週、白い道着を身にまとった100人前後の少年少女が威勢の良い声を響かせる。「これだけの人数で練習しているのは、町道場を含めても、県内ではここだけではないでしょうか」。平塚柔道協会会長の奥山晴治さんは胸を張る。
柔道協会主催の練習には、柔道を始めたばかりという小学生をはじめ、部活動の後に駆けつけるという中学生も参加している。高校・大学生選手も道場に顔を出し、柔道のイロハを学んだ恩師から助言を仰ぐ傍ら、後輩に胸を貸すことも。幅広い年代、多くの人数が一度に集まることで、身近な目標や好敵手を見つけやすいという。
指導に当たるのは、20代から70代の約20人。元学生選手だった学校教諭や自営業者、サラリーマンらが仕事の合間を縫って道場で指導している。浜岳中学校の真田州二郎教諭もそのひとりで、部活が終わると生徒を連れて協会の道場で汗を流す。
「20年ほど前は、この242畳ある広い道場に申し訳ないと思うほど、閑散としていた。でも真田先生をはじめ、良き指導者が集まり、柔道をする子どもがこんなにも増えた」と、奥山会長は振り返る。
柔道協会の練習は小学校の低学年、中学年、高学年、中学生と、年代に応じた4クラスに分かれて行われている。小学校の低学年には柔道の楽しさから覚えさせ、受身をはじめとする基本を徹底的に叩き込む。習熟度にあわせて技を覚えさせ、高学年、中学生にもなると試合に勝てるよう、実践感覚を養う練習も多く取り入れる。
大きな声を張り上げる指導者もさることながら、子どもたちの目も真剣そのもの。「全日本大会の優勝経験者を臨時指導者に招いた時、子どもたちが”技を教えて、教えて”と、彼を取り囲んで迫ったほど。平塚の子どもたちの熱心さに驚いていた」と、奥山会長は目を細める。
各地で開かれる大会にも協会指導者が引率し、実戦の場として参加を呼びかける。昨年夏の全国中学生大会で女子1人が準優勝、男子1人が3位の成績をおさめた浜岳中学校柔道部をはじめ、小学生も各大会で上位入賞するなど、結果も目覚しい。柔道名門の高校や大学で活躍する選手も増えている。
その評判を聞きつけた各地からの視察や出稽古も増え、ロス五輪金メダリストで地元東海大学の山下泰裕氏には、「平塚は柔道指導の新しいモデルケース」と言わしめたという。奥山さんは「平塚市からオリンピックの選手が出るのも夢ではないのでは」と期待を膨らませている。
※入会等の問合せは、奥山会長【携帯電話】080(5030)9841
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