動植物が本来の生態系を保って生息できるビオトープを使った教育を、岡崎の平岡幼稚園(堀田利久園長)が実践している。園職員らが整備したビオトープは、日本生態系協会が子どもの環境教育向上を目指して開催する、「全国学校・園庭ビオトープコンクール」で協会賞を受賞した。
「先生見て」「変な虫を見つけた」。息を切らして顔を紅潮させた園児たちが、園内で発見した生物を知らせようと職員室に飛び込んでくる。「子どもたちの興味をつぶさず、広げてあげたい」と話すのは、ビオトープ作りを中心となって取り組む堀田佳之介副園長だ。「初めは虫を怖がっていた子どもも、いつのまにか触れている。気持ち悪いなどの先入観なしに、生き物に接してほしい」と、ビオトープを使った教育に手応えを感じている。
幼稚園協会の研修でビオトープの存在を知った堀田副園長。「水辺を作ると生き物がやってくる。その環境はとても魅力的」と、園の裏手にある研修センターの敷地に湧く水を活用し、2009年度からセンターの敷地でビオトープの整備を始めた。
敷地に穴を掘ると水がたまり始め、数日後にはオオシオカラトンボや、ヤブヤンマが姿を見せるようになった。堀田副園長は「生き物が自然と集まってきて、これはすごいなと、のめり込んでいった。今では24種のトンボが観測されています」と笑顔を見せる。子どもが見つけた虫は、園児の名前で標本に飾る。子どもたちも、発見する喜びを実感しているという。
自然に限りなく近い形で保存されているビオトープには、蚊やヘビなど、子どもたちにとって危険な生き物も存在する。そこで同園では、安全に楽しんでもらうため、触っても平気かどうかの確認を大人に仰ぐよう指導し、保護者にはなるべく長袖長ズボンを着用させるよう呼びかけているという。「蚊も生態系を構成する大切な生き物。排除するのではなく、うまく付き合うにはどうしたらいいかを考えられる子になってほしい」
同園では、ビオトープの整備により地域に棲む生き物が集まることで、市内の生物多様性が広がることを期待する。堀田副園長は「ビオトープ教育を生かし、絵の作成などクラス活動にもつなげたい」と話していた。
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