かつて秦野にあった「秦野24所地蔵尊」。時代とともに消えてしまったこの地蔵尊を多くの人に知ってもらおうと、研究を進めている岩田宇一(ういち)さん(70・堀西在住)が4月中旬、波多川地蔵堂(堀西808)に掲示板を設置した。
岩田さんが「秦野24所地蔵尊」の存在を知ったのはおよそ3年前。波多川公民館の建物内に「波多川地蔵堂」があり、地蔵供養の縁日の際に配られるお札に『十三番』の番号と念仏が書かれていることに興味を持った。調べているうちに、近所の農家に念仏の写しが存在していることが分かったという。
念仏は全部で24番あり、五七五七七からなる。かつては市内24カ所の地蔵尊にそれぞれ念仏が充てられ、祀られていた。しかし、明治期の廃仏毀釈で廃寺になり像の行方が分からなくなり、また後継者がいなくなったことで口伝の念仏も時代と共に消えてしまった。
24所地蔵尊の念仏として伝えられているのは、「たから寺」「十日市」「なかを寺」「いまいずみ」「ひらさは」「あんらく寺」「いしうちば」「とちくぼ」「きう志やう寺」「しぶさは」「ちむら堂」「まんねん寺」「はだかわの堂」「かわむらの堂」「きたの堂」「いわふね」「よこの寺」「ぼだい寺」「まつの堂」「たわら寺」「にしの堂」「わしの堂」「てらやま」「をちあい」の24番。このうち7カ所は寺や資料、地元の人の話などから裏付けが取れ、確定したそうだ。
「波多川地蔵堂の木造地蔵菩薩坐像が2020年で作られて300年を迎えます。それまでに復活させるのが夢」と岩田さん。波多川地蔵堂に設置した掲示板にも念仏が書かれた。岩田さんは調査を進めており「24所地蔵尊と念仏を後世に残したい。情報があればぜひ教えてほしい」と話す。問い合わせは岩田さん【電話】0463・87・3538へ。
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