クレマチス・カザグルマ 絶滅危惧の原種を守れ 4者で保護・増殖 3年目で成果徐々に
5月になると230種8000株のクレマチスが見頃を迎える相模原麻溝公園(南区麻溝台)では一昨年から、絶滅危惧IB類(神奈川県レッドデータブック2006)指定のクレマチスの原種「カザグルマ」の保護・増殖活動に取り組んでいる。同公園を管理する(財)相模原市みどりの協会と相模原クレマチスの会、市立博物館が連携して実施。3年目に入り、徐々に成果が見えてきた。
何百もの品種があるクレマチスだが、その原種の1つが「カザグルマ」。日本の本州・四国・九州と朝鮮半島などだけに分布し、土地開発などの影響で近年減少。それぞれの地域で固有の遺伝子をもつため、各地域の株を保護する必要があるといわれている。県内では横浜1カ所と相模原市内4〜5カ所に自生が確認されているのみ。そうした中、これまで同公園と協力してクレマチスの普及・啓発活動に取り組んできた同会は、市内産カザグルマを守ろうと、同協会に活動を呼びかけた。
原種を守れ
組織培養の研究も
活動には、以前から市内の自生地調査を行ってきた市立博物館も参加。苗の栽培などを行うクレマチスの会と、自生地や遺伝系統の調査を行う博物館、管理や広報、コーディネート役を担う協会の3者が連携しあって活動を進めている。
高校生も参加
増殖方法は2つ。自生株の枝を少量採取して挿し木として育成するものと、種から育てるもの。性質上、育成が難しいうえ、特に種を植え育てる方法では、発芽 するまでに3年もの長い時間がかかることから、株を増やすことは容易ではない。しかし3年目に入り、初年に植えた種からようやく芽が出てきた。「少しは成 果が出だしたかな」と同協会では顔をほころばす。
さらに、こうした取り組みがテレビで紹介され、新たな協力者も現れた。昨年から、海老 名市の中央農業高校の草花部の生徒が活動に参加。同校の専門技術を用いて、植物の組織細胞から増殖する組織培養の研究が進められている。「挿し木は自生地 の株を切る必要があるが、組織培養ならほんの一部からでも効率よく増やすことができる」と同協会では研究に期待を寄せる。「まずは絶滅危惧という状況から 脱することが一番。中央農業高校も含めた4者で協力して、今後も活動していきたい」と話していた。
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