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箱根初Vの青学大 「走りきった」地元でも笑顔 黄金時代へ「めざせ三冠」

スポーツ

公開:2015年1月15日

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左から小椋選手、田村選手、神野選手
左から小椋選手、田村選手、神野選手

 第91回箱根駅伝を、10時間49分27秒の歴代最高タイムで制し、初の総合優勝を果たした青山学院大学。本紙ではレースの興奮もさめやらぬ1月10日、同大町田寮を訪問取材。就任11年目で悲願を達成した原晋監督、4区で1年生ながら区間新記録を樹立した田村和希選手(1年)、5区山登りで柏原竜二さん(東洋大、現・富士通)の持つ区間記録超えの激走をみせた神野大地選手(3年=人物風土記で紹介)、7区で区間賞に輝く走りでリードを広げた小椋裕介選手(3年)の4人に話を聞いた。

 まさに圧勝劇だった――。往路で1区久保田選手(3年)がトップ争いを演じ区間2位の快走。2区では一色選手(2年)が、強豪校のスター選手に喰らい付き、トップと2秒差の3位でつなぐ。3年生で初の大舞台となった3区渡辺選手(3年)も落ち着いた走りで順位をキープ。4区で1年田村選手が区間新の快走でトップ駒大に迫ると、5区神野選手が圧倒的な走りで抜き去り、往路優勝。翌日の復路でも、「往路のおかげで優勝できたと言われたくなかった」(小椋選手)と各ランナーがリードを守るのではなく、攻めの姿勢を貫く。6区から最終10区までの5人中、7区小椋選手、8区高橋選手(4年)、9区藤川選手(4年)の3人が区間賞、6区村井選手(3年)、10区安藤選手(2年)の2人が区間2位という圧巻の走りでリードを広げ、2位の駒大に10分50秒もの大差をつける完全優勝だった。

レース楽しむ攻める姿勢

 選手たちに共通していたのは、レースを楽しむ「笑顔」。5区の神野選手は「走るのって、こんなに楽しいのかと思った」と振り返る。「最初は前を追うのに必死だったけど、追いついた後は冷静でした。始めから予定より早いペースで入っていたのですが、監督からリラックスしてのタイムだから調子が良い証拠と言って頂いた。山を登り切った所で柏原さんの記録より20秒早いと言われたときは『マジか』と自分でビックリ。これは凄いことになると思いました」と笑う。

 4区で区間新の田村選手も、「1年目なので失うものは何もない」と楽しんで攻めた。「実は時計のスイッチを最初に押し忘れてしまい、トータルの時間が分からなかったのです」と打ち明ける。「区間新は狙っていませんでした。チームの優勝だけを考えて、走り切りました」

 笑顔でレースを楽しむ姿勢は翌日の復路組も同様だ。3度目の7区で区間賞を獲得した小椋選手は「6区の村井が去年は顔をぐちゃぐちゃにしながら来たのに、今年はガッツポーズで笑顔だった。励まされた」と話す。「最初の5Kmこそきつかったのですが、その後は体が本当によく動きました。サングラスをかけていたのですが、笑っちゃって、笑っちゃって。自分もずっとニコニコしながら走れました」とはにかんだ。

 選手たちが心に余裕を持ち、積極的な走りが出来たのはなぜなのか。小椋選手は原監督の指導法をあげる。「監督は『この練習はこういう意味がある』など、理論をしっかり説明してくれる人です。その上で個々が考えて行うように指導してくれる。だからこそ、自分で考える応用力が付いた」と話す。

 こうした練習を徹底的に行うことで、自信も生まれた。今シーズンのチームのテーマは「最強へ向けての徹底」。一人ひとりが高い意識で取り組んだからこそ、実力が発揮され、本番を楽しめたのだ。

求め続けたスピード

 原監督は創部96年、同大初の快挙に対して、「素直に嬉しい」と一言。一方で監督に就任して11年を振り返った時、2004年の就任当初に集めた「強化一期生」への思いがよぎる。箱根駅伝の出場さえ、ままならなかった時代。当時は「土壌が悪く、食事もダメで、マイクロバスさえ無く、選手個々への経済的負担も今よりあった」という。「本気で走りたいのに走れない環境だった」と原監督。「彼らには苦労をかけた。少しずつ積み上げてきました」

 その中で就任当初からこだわったのがスピード。箱根駅伝は高速化すると考え、10年前から「11時間切り」を目標にしていたのだ。そのために力を入れたのが5千mのタイム。「5千mをしっかり走れない子が20Kmを走れるわけがない」。練習メニューを組み立てる上で、自身が中京大出身で箱根駅伝とは無縁だったことも功を奏した。「箱根駅伝だから30キロ走を何本やらなければダメなど、伝統に縛られませんでした。白紙から物事を組み立てられた」と胸を張る。

 結果、体幹トレーニングなど新メニューを積極的に取り入れ、試行錯誤を繰り返し、個々のスピード強化につなげた。原監督は「土壌づくりの段階だった最初の3年こそ苦労をしたが、その後はしっかりと土壌ができ、良い種を植えることができた。本当に良い花が咲いた」と頬を緩める。

男気ある男育てる

 箱根を制した選手の次なる目標は出雲・全日本・箱根という学生三大駅伝全てを制覇する三冠。小椋選手は「僕たち3年生が入学したとき、4年時に三冠を達成すると話してきました。その気持ちは今もぶれていません」と意気込む。

 一方、原監督の目標は教育者として男気のある男を育てること。「エースでも寮長でも自分の役割をしっかりこなせる人間を育てたい。そんな男気のある人間が育ったチームは自然と結果が付いてくるはず」と言い切る。数年前までは箱根出場さえ冗談だと思われた同大。弱小から常勝へ。青学の黄金時代は今始まったばかりだ。

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