県内唯一の木造校舎だった青根小学校
３日午前５時ごろ、青根小学校（緑区／須藤ゆかり校長）で火災が発生し、木造２階建て校舎約１３００平方メートルが全焼した。津久井警察署、市消防局によると、けが人はなく、火元や出火原因については現在調査中だという。全児童数が少ないながらも、地域が一体となった教育を進めてきた同校だけに、関係者や周辺住民などからは「非常に残念だ」と悔やむ声があがっている。
（４月４日起稿）
同校舎は、１９４１年に前身校舎が火災で全焼したのち、１９４３年に建てられた総ヒノキ造り。県内の小学校では最も古く、県内唯一の現役の木造校舎として、昨年には市の登録有形文化財にも指定され、同地区の観光資源の一つとしても活用されていた。
同校がある緑区青根地区は山梨県境にあり、人口は２１９世帯５７６人（２月１日現在）。青根地域振興協議会の関戸正文会長によると、「校舎は戦時中の厳しいなか、地域住民が協力し、資材や労力を提供して完成したもの。現在も住民からの思い入れは大きい」という。安全性の面から、鉄筋コンクリート構造への建て替えの動きもあったが、地域内での話し合いの結果、貴重な木造校舎として、引き続き、使用されていた。
同校は今春に新入生を１人迎えて、全児童数が４人。児童が少ないなかでも、豊かな自然の活用や、住民との連携のもと、地域ぐるみで教育を展開してきた。学校行事などには周辺住民の多くが集まり、世代を超えた交流拠点としての役割も担っていたという。自身も同校の卒業生である関戸会長は「古くから地域に愛されてきた校舎。子どもから高齢者までをつなぐ大切な場所だっただけに非常に残念」と遺憾の意を示した。
市教育委員会によると、入学式は同校付近にある青根中学校（杉本祐一校長）で行い、授業についても同校の空き教室を利用して、実施していく予定。今後の青根小学校校舎の動向については検討中だという。同小学校の奈良田久教頭は「子どもたちが安心できるよう、いまできる限りの体制を整えていきたい」と話している。
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