現在の南区麻溝地区を中心に戦後、年ごろの女性たちによって盛んに踊られていた「ごぼう音頭」。一時は忘れられていたこの踊りを再興させようとこのほど、保存会が発足した。細部の振付なども再現しながら、将来的には「ごぼう音頭」を再び広め、子どもたちに踊ってもらうことで地域交流を図っていく。
戦後の食糧難の中、ごぼうの栽培・販売が開始され、以後盛んに生産が行われていた麻溝地区。最盛期には、関西地方にも「麻溝ごぼう」として出荷されていたという。そんな中、このごぼうを全国に名産品としてアピールしようとつくられたのが「ごぼう音頭」だ。
現在の麻溝小学校を卒業した20歳前後の年ごろの女性たちによって地域のイベントなどで踊られ、踊り子を務めた女性たちは、地元では親しみを込めて「ごぼう娘」と呼ばれていたという。初代「ごぼう娘」の佐藤千代江さん(84)は、「東京都で開催された踊りの大会に(他の女性たちと)出場して、優勝したこともある」と当時を振り返る。
その後、時の流れとごぼう生産の衰退とともに忘れられていたこの音頭に再び光があたったのは、今年の2月。地元の様々な踊りを調べている郷土史愛好家の田口孝平さんと平澤哲周さんが「『ごぼう音頭』なるものがあるらしい」という話を聞きつけ、調査する中で、郷土史を研究している中島聰さんや踊り子を務めていた佐藤さん、関山美代子さん、本多百代さん、吉山菊枝さんと出会い、保存会を結成した。
現在保存会では、音頭の作曲家と振付師が親子であり、振付師は現代舞踊の先駆者として知られていた著名人であった可能性が高いことなど、音頭の全容解明に努めつつ、踊りの再現に力を入れている。振付がはっきりわかる資料は今のところ手元にないため、市農政課が保存していた音源をもとに、女性4人の記憶を頼りに再現を試みている。
今後は、踊りを完成させ、地元の小中学生に教えることで、音頭の再普及や地域交流の促進をめざす。田口さんは「地域の踊りとして再び大事にされるようになれば」と話している。
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