（上）はやぶさ２の無事の任務達成とカプセルの地球帰還を祈り参拝する（手前から）本村賢太郎市長、國中所長、津田教授（下）呼ばわり山を背にプロジェクトマネージャとして意気込みを見せる津田教授＝９月26日、新田稲荷神社（共和）
小惑星リュウグウで探査機・はやぶさ２がサンプル採取したカプセルの地球帰還が12月６日に迫る中、はやぶさの故郷・相模原から無事を願おうと、「呼ばわり山」がある新田稲荷神社で９月26日、祈願祭が開催された。新型コロナウイルス感染拡大予防で関係者のみで実施。地元とＪＡＸＡがさらに結束を深める契機するとともに、任務の達成を切に願った。
祭事は同神社、淵野辺駅北口の商店街・にこにこ星ふちのべ商店会、地元有志とＪＡＸＡ、行政で組織される「ＪＡＸＡ宇宙科学研究所と夢を創る会」の共催。
会場となった同神社の呼ばわり山は市登録史跡で、原野が広がっていた昔、迷子などを捜すときにそこで鐘や太鼓を叩くと、見つかると信仰されていた小丘。かつて、はやぶさ初号機が消息を絶った際に当時プロジェクトマネージャを務めた川口淳一郎ＪＡＸＡ教授が発見を願って夜ごと訪れた後に音信が取れ、感動の帰還を果たしたことで有名になった。同神社では２０１４年にはやぶさ２が打ち上げられたときから、帰還する際に初号機の恩返しの思いを込め、祈願祭を行う方向で検討が進められてきた。そうした中、はやぶさ２の任務が順調に遂行され、帰還の途に就いたことや関係者の後押しもあり実現にこぎつけた。
祭事には國中均宇宙科学研究所所長、プロジェクトマネージャの津田雄一ＪＡＸＡ教授ら関係者約60人が参加。はじめに北相模総守護社である、亀ヶ池八幡宮の根岸浩行祢宜による祈祷を拝殿で行った後、関係者らは呼ばわり山を参拝し無事の帰還を願った。
式典のあいさつで國中所長は、コロナ禍でプロジェクトを運用する難しさを課題に挙げつつも、これまで挑戦して乗り越えて来た経験に触れ、「ひるむことなく解決して歩みを進めていく」と覚悟を示した上で、「市と一体で事業を進めていきたい。必ず市にカプセルを持って帰って来ると約束する」と誓った。
津田教授ははやぶさ２を打ち上げた６年前を振り返り、「多くの市民の方の支えのおかげ」と感謝を表し、「カプセルはこの地元に戻って来る。その時はぜひ、皆さんと喜びを共有したい」と話し、意気込みを見せた。
はやぶさ２は地球に向かって順調に航行を続けており、９月26日時点で残すところ約３０００万キロまで迫ってきている。それを受け、「はやぶさ２に今声をかけるなら」との本紙の問いに対し津田教授は、「今まで寸分たがわず指令通りに動いてくれた」と評した上で、「とにかく最後まで狂わないでちゃんと動いてくれ、と言いたい」と言葉に力を込めた。
祭事の模様はユーチューブチャンネル「宇宙に一番近い町にこにこ星ふちのべチャンネル」で10月中に配信される。
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