高齢社会を迎える中、買い物困難者を支援しようと、光が丘地区自治会連合会(割柏秀規会長)を中心に実施を要望していた移動販売車の運行が10月1日に始まった。「イオン」を展開するイオンリテールが運営し、イオン橋本店から週2回、中央区内16カ所を曜日ごとに巡回する。割柏会長は「地域の方に有効にご活用いただけたら」と期待を寄せる。
移動販売は、近隣に店舗が少なく、生鮮食品などの買い物が不便な地域を、食料品や日用品などを積んで自動車で訪問し、一定時間停車して商品を提供する事業手法。高齢化が進む中で、移動手段がないなどの理由で店舗に足を運べない、インターネットでの商品購入にもなじみがない、といった買い物困難者をサポートする一手として、全国的に取り組みが広がっている。同社は2016年に千葉県で移動販売を開始。県内では17年に横浜市で事業をスタートしているが、相模原市では初の運行となる。
光が丘地区にもスーパーは複数あるが、今後ますます高齢化が進んでいく中で、買い物難民の増加が見込まれることは同地区の課題の一つだった。「高齢者にとっては500mの距離でも買い物に行くのが大変」と割柏会長は明かす。
一昨年の夏、同社が中央区での移動販売を検討していることを知った同自治会連合会は、地区内での運行を熱望。住民説明会やアンケートの実施、駐車場所の選定など招致活動に主体的に取り組み、今年1月には市の協力も取り付けた。市とイオンの間で、12年に地域活性などを目的とした包括連携協定が結ばれていたことも、市内での同社初の移動販売実現を後押しした。「移動販売には買い物難民の支援だけでなく災害時の食料供給という側面もあり、住民にも納得していただけた」と割柏会長。同社広報マネジャーの一海徳士さんは「場所の紹介など、地域とつながりのある自治会が主導してくれて大変ありがたかった」と話す。
イオン橋本店から
移動販売車はイオン橋本店が運行する。光が丘、陽光台、横山、大島、田名、上矢部、青葉エリアの16カ所のうち、原則午前・午後各3カ所、決められた場所を週2回、専用の軽自動車2台で巡回。生鮮のほか、惣菜や加工食品など約600品目を積載し、品ぞろえにない場合はリクエストにも応じる。移動販売の手数料として1品につき10円がかかる以外は、その日のイオン橋本店の売値と同じ価格で商品を購入できる。
対面が魅力
初日の1日、最初の訪問地である陽光台では、同店で移動販売を担当する堀口高明さんの歯切れの良い売り口上が響いた。事前に自治会が配布したチラシや口コミで集まった近隣の主婦らが、アルコール消毒などを施した後、陳列された商品をもの珍しそうに物色。買い物をした81歳と75歳の女性はそれぞれ「足が弱くなり、遠くにスーパーが見えていても行くのが大変」「重い物を持って歩けない。ちょっと欲しい物がある時に良い」と話し、「来てくれて助かる」と感想を述べた。「ネット販売や宅配などもある中で、顔を合わせ、会話を交わせるのが移動販売の良いところ。毎週決まった時間・場所に買い物に来ることで、コミュニティの形成にもつながる」と堀口さん。割柏会長は、「時間やルートが住民に早く定着してくれれば」と今後の展開に期待を示した。
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