コロナで苦境に直面する地元飲食店の現状を探り課題解決につなげていこうと、富士見小学校の児童が9日、実態調査を行った。コロナの状況で市内の児童が飲食店に直接訪問し、聞き取りを通じて学習するケースは珍しい。同小では今後、調査結果などを踏まえ、店側と児童による新メニューの開発も視野に取り組むことが検討されており、学習を通じ市内飲食業界の盛り上げの一助にしていきたい考えだ。
富士見小ではこれまで地域をテーマにした総合学習を行ってきたが、今年度のテーマとして、昨年からのコロナの感染拡大による市内への影響は看過できないとの見方が職員間で上がった。児童に意見を求めたところ、飲食店がコロナによって厳しい状況に立たされ影響を受けている点を指摘する声が多数を占めたことから、コロナの現状を最も把握しやすい飲食店への実態調査を決めた。
調査にあたっては、関係機関に協力を要請。児童は事前に地元飲食店の店主からコロナによる市内飲食業界の現状を聞くなどして理解を深めた。その上で、苦境の中でもテイクアウト事業などに注力して活路を見出している地元気鋭の2店舗を調査対象に選び、快諾を経て実施した。
調査には5年2組の児童33人が参加。2店舗のうちの一つ、グリルフクヨシでは店舗内を見学した後、吉田茂司社長に対し店内の具体的なコロナ対策やコロナ前後の経営状況、昼夜の来店状況、テイクアウト事業の手法、衛生管理などさまざまな課題について率直に質問した。吉田社長が一つひとつの質問に丁寧に答えると、児童たちはノートにメモを取りながら真剣な表情で聞き入っていた。吉田社長は「鋭い質問もあって驚いた」と感想を話し、「飲食は大変と言われネガティブなイメージがあるが、現場の私たちは笑顔で皆さんを迎え、食べてもらって元気になってほしいと考えている」と訴えた。
調査を終え、霧生莉子さん(10)は「こんな時代でも何か解決策を打っていてすごいと思った」と感銘を受けた様子で、「この経験を生かして飲食店の皆さんが少しでもうれしくなるようなことに取り組んでいければ」と意気込みを見せた。担任の柿原大吾教諭(38)は「今回の学習を通じて、人とのつながりを感じて成長していってほしい」と期待を寄せた。
同校では今後、課題解消に向けた議論を重ねた上で、店舗と児童が共同して新メニューづくりに取り組む構想もあり、総合学習を通じてコロナ後を見据えた地元飲食店の盛り上げに協力していきたいとしている。
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