相模原市立博物館レポvol.27 知られざる地下の生きものたち 舘野鴻絵本原画展「がろあむし 描かれた相模原の自然」 生物担当学芸員 秋山幸也
「ガロアムシ」と名前を聞いてその姿を思い浮かべられるでしょうか。よほど昆虫に興味がある人でなければ聞いたこともない名前でしょうし、虫好きの人でも、実際に見たことのある人はあまりいません。なぜなら、一生を地下で過ごす昆虫だからです。
現在、相模原市立博物館で開催中の舘野鴻絵本原画展「がろあむし 描かれた相模原の自然」(6月5日まで)では、ガロアムシの一生を主題にした絵本の原画23点を中心に、私たちが普段、目にすることのない地下の生きものの美しい写真や、絵本の制作過程に迫るラフ画などを展示しています。
作者の舘野鴻さんは、小学館児童出版文化賞を受賞した『つちはんみょう』(2016年)などで知られる絵本作家です。徹底的に観察した上で描かれた細密な図版と、生と死を正面から取り上げた独自の作品世界で、幅広い年代から支持されています。
当館の調査で発見された市内のガロアムシの生息環境で、舘野さんが取材と調査を始めたのが2010年のこと。それから10年の歳月をかけて完成したのが絵本『がろあむし』です。ガロアムシは、崖下の崩れた岩や石の堆積した、「ガレ場」と呼ばれる特殊な環境に生息します。ほぼ一生を地下で過ごし、8年ほど生きると言われています。
絵本は、相模原市内の調査地をモデルにした環境を、上空から俯瞰したページ(鳥瞰図)で始まります。すぐに視点は地下へと下りて、ガロアムシの一生が描かれ、最後は再び上空から、8年後の環境を俯瞰します。もちろんそれは架空の環境ですが、ガロアムシの一生の時間と、その間に行われる環境のすさまじい改変の対比がとても印象的です。展示では、この絵本の原画をページ順にすべて展示しています。小さな生き物の、体の毛の一本一本まで描かれた細密な原画をぜひご覧ください。会期最終日の6月5日には、舘野さんのトークショーも行われます。詳しくは相模原市立博物館のホームページをご覧ください。
※新型コロナウイルスの感染拡大の状況により、内容の変更や開催中止となる場合があります。
■相模原市立博物館(高根3の1の15)【電話】042・750・8030
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