2012年度より市内中学校で生徒を保護者へ引き渡す訓練が実施される。これは東日本大震災の発生を受け市教育委員会が、安全管理・安全指導の指標「学校安全の手引」を見直す中で、子どもの安全を最優先し決めたもので、中学校の実施は全国的にも珍しい。
引き渡し訓練は、災害発生時を想定し、児童を確実に保護者へ引き渡すことを目的とする訓練。市教育委員会では、災害時に備え、同訓練の実施を「学校安全の手引」に盛り込んでおり、多くの小学校では9月1日の防災の日に実施している。一方、中学校では保護者が学校へ生徒を迎えに行く負担が生じるため、【1】生徒に一定の判断能力がある【2】小学生の弟妹がいる生徒の両親はさらに負担が増すとの理由から実施してこなかった。
しかし震災以降、市教育委員会は、地震発生時に生徒の安全をどのように守るべきかについて協議を進め、「学校安全の手引」の見直し(3月11日までに改定予定)を決定。昨年7月には、各校に引き渡し条件(震度5強引き渡し、震度5弱以下は交通網の混乱などを考慮し、学校長判断に委ねる)の再確認と、中学校における同訓練の実施を求める学校長通知を行った。
中学校での同訓練実施は全国的に見ても極めて稀で、市内でも過去に数件の例しかないという。
訓練実施に課題
訓練の実施方法や開催日は各中学校に委ねられているが、クリアすべき課題もある。学区内に複数の小学校を抱える中学校教頭は、小学校と合同で開催し、保護者の負担を減らすことが望ましいとしながらも「学区内すべての小学校と日程を揃えるのは困難。単独で行う場合は(弟妹がいる生徒の両親を考慮し)小学校と日程が重ならないようにする必要もある」と頭を抱える。震災に備え、生徒の命を守る引き渡し訓練。実施に向けた課題をクリアすることが今後求められる。
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