今年2月、養父から虐待を受けていた中学2年の男子生徒が自殺を図り死亡した問題を受け、相模原市児童相談所(市児相)は各機関との間で責任を明確にする仕組み作りや10月から新たに研修を開始するなど、再発防止に向けた取組みを進めている。再発防止策の着実な実施が求められる一方、増え続ける虐待相談に対応するためには、現場職員の負担軽減が課題となる。
この問題は、虐待を受け、市児相に通所していた男子生徒が自殺を図った後死亡し、市がこれを公表したことで発覚。事態の検証を行うため、市は内部の専門部会に諮問し、今年9月に同部会から答申を受けていた。答申では、市児相内で男子生徒が虐待を受けていることを把握しながら市や学校間で責任が不明瞭な状態が続き、虐待が疑われる個別の事案について一時保護などを検討する「緊急受理会議」が開催されなかったことを指摘。ほかにも複数の要因が重なり、結果として適切な対処がなされなかったことなどが自殺の要因とした。
市児相は答申をもとに、再発防止策に着手。中でも、虐待の予防などを担う市の「こども家庭相談課」や学校間での責任の明確化に重点を置き、虐待が疑われる事案は3者のいずれかの機関が責任を持ち、必要な処置を行っていく体制を構築。加えて、個別の事案について支援方針を決定する「ケース会議」については新たに開催マニュアルを作成する予定だ。
ほかにも、スタッフの専門性を高めるため、今年10月から他市の児相と相互に職員を派遣する「交流研修」を開始。市児相の担当者は「地域の実情に合わせて運営の仕方が異なるので、多くの事を学べている」と事業の意義を説明した。
倍増する虐待相談
近年、児童虐待への関心の高まりなどを背景に、虐待相談は全国で増加傾向にある。相模原市においても2010年から昨年まで毎年「過去最多」を更新。15年の件数は970件で5年前からほぼ倍増している。一方、人口に応じて各児相に割り振られ、子どもの支援にあたる「児童福祉士」は市児相において11年から14年までは18人で、15年にようやく1人増えたのみ。増大する虐待相談に対応するためには福祉士の増員が不可欠となる。
国もこうした現状を改善するため、今年4月に法律を改正し福祉士一人あたりの負担が大きい現場での増員を決めた。ただ、市児相は「来年の4月以降、人員がどれだけ増えるかは不透明」と話した。
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