相模原署と市内最大の工業団地「テクノパイル田名工業団地」(田名塩田)はこのほど、外国人による不法就労防止などを目的とした区内初となる協議会を設立した。今後、会合を重ね不法就労に関する動向や外国人雇用の注意点などを共有していく予定だ。一方で、不法就労の背景には制度上の問題を指摘する見方もあることから、市内で外国人を雇用する企業では「意欲のある外国人が安心して働ける環境を整備する必要がある」といった声も上がっている。
不法就労とは出入国管理および難民認定法上の禁止行為。外国人は入国管理局の許可なく労働に従事した場合、あるいは同局に認められた業務範囲を超えて働いた場合に処罰される。対象は外国人だけでなく、雇用者側にも及ぶ。不法就労を知りながら雇用したり、外国人が適法に長期滞在するために所持する「在留カード」の確認を怠った場合も処罰の対象となる。
近年では、技術取得を目的とする「外国人技能実習制度」で来日した外国人がより高待遇な職を求め、実習先を抜け出し他の職場で働く事例が多発しており、全国的に問題となっている。不法就労として摘発されるケースは建設現場や工場、農場などが多く、入国管理局では事業所への啓発を行っている。
こうした状況を踏まえ、同署が工業団地側に呼びかけを行い、不法就労防止を目的とした協議会を今年5月に設立。会には団地内68社中、53社が参加した。8日には第1回の会合が開かれ、不法就労の入口が、主流だった飛び込みから在留カードの偽装やブローカーを介して行われるなど手口が巧妙になっている現状が共有された。市内では2009年に緑区橋本台の工業団地で同じく不法就労防止を目的とした協議会が設立されており、今後は両者で情報共有を図っていく考え。
一方、外国人の権利擁護などを専門とする識者らの間では、不法就労について日本の法制度の問題点を指摘する声も多い。外国人を雇用し住宅工事などを行うシャプラ・インターナショナル株式会社(田名)の高木宣子さんは、技能実習制度の外国人を劣悪な環境で働かせている現場もあり、それが不法就労に繋がっている点を問題視する。その上で制度上の改善点として「意欲のある外国人が日本人と同じように働ける環境が必要」と話している。
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