生活習慣病である糖尿病とその合併症とされる歯周病の治療について市内の内科医と歯科医が相互に連携し、患者の健康につなげていくことを目的とする有志グループ「相模原糖尿病と歯周病を考える集い(通称:紫陽花会)」が昨年発足し、5月から活動を本格化させている。専門分野の垣根を越え、スムーズに情報共有を図ることで糖尿病患者の歯科診療体制の効率・充実化が期待される。
昨今、糖尿病の罹患(りかん)者数は増加傾向にあり、厚生労働省が2016年に行った「国民健康・栄養調査」によると、国内の糖尿病患者は予備軍も含め推計2000万人。糖尿病が進行すると様々な合併症を併発し、その一つである歯周病が悪化すると歯の損失や咀嚼(そしゃく)力の低下により食事バランスの偏りが生じ、結果的に糖尿病の進行が早まるだけでなく全身にも悪影響を及ぼすとされる。このように糖尿病と歯周病は相関関係にあることから、以前から医師の間で医科歯科連携の必要性が叫ばれてきた。
そこで県歯科医師会が中心となり、17年に糖尿病治療での医療連携を目的とした協議会を設置。保健師や管理栄養士、行政との協力も視野に、まずは相模原市がそのモデル地区となった。昨年8月には市内に医院を構える有志の医師らが同グループを結成し、協議を経て今年5月から本格的に連携を開始した。
具体的な取り組みとして、内科医院は糖尿病患者に合併症である歯周病のリスクを説明するほか、オリジナルのマップで近隣の歯科医院での受診を案内。歯科医院でも、糖尿病が認められる患者に対し専門医のいる医院を紹介する。その際、共通の紹介状を使うことで患者の診療情報のスムーズな共有を図り、治療を効率化させる。
現在同グループには、市内の糖尿病専門医13人と歯科医26人が参加しており、勉強会などを通して医師同士が親交を深め、顔の見える関係を構築している。糖尿病専門医で、代表を務める金森晃氏は「互いに見知った医師を紹介できるので、安心して患者を預けられる」と利点を挙げる。そのほか、看護師や栄養士などの医療従事者を対象にした講演も実施し、医科歯科連携の重要性の理解者を増やすことにも力を入れている。
同グループは今後も現場レベルで連携の充実に努め、取り組みが軌道に乗れば、市の医師会と歯科医師会にノウハウを提供し、市全体に広げていきたい考え。金森代表は「医療機関同士で相互に意見交換しながら、糖尿病患者にとってより良い診療体制を構築していきたい」と話している。
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