水郷田名の夏の風物詩として、例年8月第4週に相模川高田橋上流で開催されている「相模原納涼花火大会」(主催:同実行委員会)が、今年は新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、中止となることが決定した。同大会の中止は、直前に襲来した台風の影響で開催を取りやめた2018年以来。同実行委では現在、代替イベントの実施を検討している。
相模原納涼花火大会は、1951年に地元の消防団が、水郷田名の復興を願って「田名煙火大会」として始めたのが起こり。現在の名称に変わってからも、相模原市を代表する観光行事の一つとして市民に親しまれ、例年20万人を超える見物客で賑わいを見せている。
開催に影響を及ぼす台風を避けることなどを目的に7月開催となった昨年も、約1万発の大輪が夏の夜空を彩り、およそ19万人が会場を訪れた。
実行委では東京五輪・パラリンピックと日程が重なる今年の開催について、昨年から協議を進めてきた。そうした中で、今年に入り新型コロナウイルス感染症が蔓延し協議は難航。終息の見通しが不透明な中で実施の可否について検討を重ねたものの、実行委員やボランティア、参加者らの安全が確保できないとの判断から多くの観客を集めての開催を中止とした。
久野新一実行委員長は本紙の取材に対し、「お客様や関係者の安全を考え、断腸の思いで中止を決断した。コロナが終息し、開催できる時がきたら、休んでいた分を取り返し期待を裏切らないような立派な大会にしたい」と話した。
通常開催は断念したものの、実行委では現在、代替イベントの実施を検討している。実行委事務局によると、イベントは秋頃を想定。8月上旬に会議を開き、中旬をめどに具体的な内容を発表する見通しだ。
河川敷復旧も視野に
コロナ禍に加えて、通常開催の検討にあたり実行委で大きな課題となっていたのが河川敷の整備だ。昨年10月、令和元年東日本台風(台風19号)発生時に城山ダムの放流で相模川が増水し、会場である高田橋周辺の河川敷が水没。観客用駐車場として利用していた高田橋下流の河川敷は石や岩が堆積し、地盤が隆起して、その形状も大きく変わった。花火の打ち上げ場所や観客席、駐車場などの安全確保は困難に。そのため、大会の開催にあたっては、河川敷の整備も重要な検討事項の一つとされていた。
そこで実行委では、実施を検討している代替イベントについて、「コロナで落ち込んだ市民を元気付ける」とともに、「台風からの復興」の意味合いも込めて取り組む考えを示している。「花火大会だけでなく、バーベキューや魚釣りなどでも市民に利用される河川敷の復旧は、今後の水郷田名の観光を考えるうえで避けられない。地元である実行委が率先して整備をしなければ」と事務局は話す。
実行委では現在、代替イベントの発表と併せて、クラウドファンディングなどの方法を通じて寄付を募り、整備の資金を調達することも検討しているという。
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