東海大学医学部(下糟屋)の教授や学生による生命科学の出張授業が8月1日、子ども科学館で行われた。「地域の交流を深め、子どもの理科離れを防ごう」と、同大准教授の阿部幸一郎さん(46歳)が企画。翌日には、医学部の研究室を見てまわる学内ツアーも実施された。生命の不思議と科学技術にふれた小学生たち。この中から未来の科学者が現れるかも知れない。
DNA、突然変異、ミュータント…。大人でも理解に苦労するような言葉がスクリーンに映し出される。集まった16人の小学生たちは険しい表情で講師たちの説明を聞いた。
しかし、空気は一変する。
「口の中の粘膜を取って、この中に入れてください」。その指示に従い綿棒を口に入れる。DNAの抽出実験の始まりだ。
インキュベーションと呼ばれる方法で粘膜を50度に温める。しばらくすると白いDNAが取り出され、それを小さな器へ。文字通り「世界に一つだけ」のペンダントが完成し、小学生たちにプレゼントされた。
この日は、ルーペや顕微鏡を使い、突然変異をして骨格がゆがんだマウスの姿やセンチュウの観察なども行われた。「難しい分野を楽しく、興味深く」というのが出張授業のポイントで、阿部さんは「子ども世代の好奇心に迫ることで早い段階から理科や科学に関心を持ってほしい」と期待する。
この取り組みは、地域活性を目的とした文部科学省「地(知)の拠点整備事業」の一環として行われたもの。国の予算を活用して行われたが、同大では2年ほど前から、地域貢献を目的に「手弁当」で科学館への出張授業を行ってきた。
反応も上々
出張授業を行っていくなかで生じた「伊勢原にある大学としてもっとできることはないか」という問い。その答えとして今回初めて企画されたのが研究室ツアーだった。
8月2日、小学生と保護者たちは医学部を訪れ、8つの研究室を見学。研究室には、DNAの配列を調べるシークエンサーや、「レンズだけで自動車1台が買える」という高価な電子顕微鏡などがあり、子どもたちは目を輝かせながら各部屋をまわった。
ツアーの後には、参加者と教授たちによる懇親会も開催。今回参加した菅野流星くん(桜台小4年)は「気持ち悪い生き物も見たけど、楽しかった」と笑顔。阿部さんは「今後も続けたい。シニア層を対象にした出張授業もおもしろいのでは」と意欲を示した。
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