特別企画・2011年新春市長インタビュー 選択と集中・縮減が基本姿勢 2大課題は「少子・高齢社会の進行」「都市基盤の整備・充実」
本紙では元旦号発行にあたり長塚幾子伊勢原市長の恒例の新春インタビューを行い、新年の抱負やまちづくりについて話しを聞いた。3月1日に市制施行40周年を迎える今年、市長は「元気な伊勢原づくりに向けて改めて努力を重ねていきたい」と話し、市民が安心して住み続けられる持続可能なまちづくりに意欲を示した。
▽明けましておめでとうございます。新年の抱負をお聞かせください。
新年明けましておめでとうございます。
昨年は、景気後退、政権交代などによる不透明感、少子高齢化や人口減少社会の到来、さらには地方財政の制度論的な限界など、目指す地域づくりのためにはさまざまな困難性がありました。ただ、一方では、こうした変化を新たな時代への「芽ぶき」ととらえ、将来に向けた変革への期待感もあると感じています。
こうした時代の転換点として、また市制40周年という節目の年を迎えるにあたり、新たな希望を持って持続可能な都市、将来へ引き継いでいくことができるまち、「元気な伊勢原づくり」に向け、改めて努力を重ねていく1年にしたいと強く感じています。
▽伊勢原市は、3月1日に市制40周年という大きな節目を迎えます。どのような企画をお考えですか。
市制施行40周年を迎えるにあたりまして、これまでの40年間を振り返り、次世代へ「元気な伊勢原」を継承する契機として、今年1年間を「記念イヤー」に位置付け、記念事業を実施していきます。
記念事業の構成としましては、「記念式典」、「冠事業」、「協賛事業」の3本立てで計画しています。「記念式典」は、3月1日の市制記念日に市民文化会館小ホールで、市表彰条例に基づく表彰のほか、40年の歩みのスライド上映、いせはら景観写真展などを行います。
「冠事業」としましては、1月9日に開催します「消防出初式」「新春市民の集い」を皮切りに、現時点では、約40の事業を行います。
また、「協賛事業」につきましては、市民団体などが主催する事業を「協賛事業」として、40周年を盛り上げていただける事業の募集を現在行っています。市もそれらの事業に対しまして支援を行っていきます。
▽新年度予算編成も大詰めを迎えます。現在の情勢を鑑み、緊急度と将来への影響を考えて何に重点を置きますか。
現在、新年度予算の調整を行っていますが、歳入につきましては、企業活動による収益や個人所得の動向が市税収入に及ぼす影響が非常に大きく、現時点では、より一層厳しい状況にあると考えています。歳出につきましては、直近の景気動向は改善の方向という見方もありますが、失業率の高止まりや少子高齢化社会への対応などにより、生活保護や介護関連経費、さらには医療費といった社会保障経費が大幅に増加していますので、厳しい予算編成を進めているというのが現状です。
しかしながら、平成23年度は、『いせはら21プラン』の後期4年度目であり、目標を実現するための予算を編成していかなければなりません。「選択と集中」、さらに「縮減」を基本的な取り組み姿勢としまして、施策、事業を着実に推進していかなければならない年度であると考えています。
その中でも、「少子・高齢社会の進行」、「都市基盤の整備・充実」という二大課題への取り組み、伊勢原協同病院移転新築に対する支援、また後期基本計画の目標の達成に向けた取り組みなど、厳しい財政状況ではありますが、最小の予算で着実な進展を図る、ということを念頭に取り組んでいきたいと思っています。
▽中学校給食について
中学校給食の導入につきましては、平成17年から検討を重ねてまいりました。しかし、その重要性に変わりはないのですが、想定を超える厳しい市の財政状況や、優先すべき施策の状況を考えますと、現時点では、即時の事業実施を判断する環境にないと、苦渋の決断をいたしました。給食の意義というものを考えますと、中学校給食を実施したいという気持ちは今も変わりません。今後も理想とする中学校給食の実現に向けた検討を引き続き進めることとしています。本格的な中学校給食が開始されるまでの間は、現在、全中学校で実施しているスクールランチを、生徒たちがより利用しやすくしたり、栄養バランスやメニューの検討など、弁当を持参することのできない生徒に対する昼食支援策を充実させるよう教育委員会にお願いしているところです。
▽公立保育園の指定管理者制度移行について
現在の子どもと子育て家庭を取り巻く状況は、社会環境の変化により、多様な保育ニーズが増大しています。また、児童虐待や育児放棄の問題もあり、子育てを支援するための取り組みも求められていると認識しています。
しかしながら、一方では行政運営の厳しい状況下では、事務事業の合理化・効率化を考えながら、公立保育園の特性を活かした保育サービスの充実や子育て支援の強化を図っていく必要があると考えています。
今回の指定管理者制度への移行は、限られた人材や財源をより効率的・効果的に活用して、多様化する保育ニーズへの対応や待機児童の解消、そして、すべての子育て家庭への支援を推進するために、公立保育所の一部を民営化するものです。民営化により節減できた経費や人材を活用して、公立保育所と私立保育所のそれぞれの特色を活かした役割分担のもとで保育サービスの充実を図っていきたいと考えています。
今まで公立保育所の運営を通じ、市は保育行政に直接的な関わりを持ってまいりました。今後は、より専門的な知識、技術を必要とする保育サービスの提供や、地域の子育て家庭をも支援する地域に開かれた保育所を目指します。市内すべての保育所における質の向上と、次代を担う子どもたちをすくすく育てられる環境づくりに取り組んでいきます。
▽重点課題としてあげていた伊勢原協同病院の新築移転が県の都市計画で決まりました。今後の重点課題を含め、まちづくりのビジョンをお聞かせください。
伊勢原協同病院に対しましては、移転新築が成立するために行政として不可欠な支援を行うという基本的な考えのもとで支援に取り組んできました。昨年7月に移転先の法手続も完了し、厚生連では平成25年度の開院を目指しています。
伊勢原市は、近隣と比べても医療分野において大変恵まれたところであり、新協同病院の開院により、今後も市民が安心して暮らせる医療の充実したまちづくりが進められると考えています。
今後の重点課題としては、市内を通過する新東名高速道路や国道246号バイパスという広域幹線道路で形成される(仮称)北インターチェンジ周辺整備や成瀬第二土地区画整理区域から歌川産業スクエアにかけたエリアで進めている東部新産業軸の形成、大山・子易地区の地域活性化対策などがあります。
さらに、今後のまちづくりの課題としては、人口減少社会の到来、少子・高齢化の進展、地球温暖化などのほか自己責任に基づいた行政運営が求められる地域主権改革の進展などが挙げられます。
こうした中で、市民が安心して住み続けられる持続可能なまちづくりのためには、伊勢原市の強み、弱み、機会を確実に捉えたうえで、これらの課題と向き合って都市経営を着実に実行したいと考えています。
▽お正月に食べる好きな料理は何ですか。また、お正月はどのように過ごされますか。また、市民へのメッセージがあればお聞かせください。
毎年、お正月は家族で近所の神社にお参りに行くのが恒例です。あとは家族でゆっくりと過ごします。
お正月料理では、お雑煮と栗きんとんが大好きです。結婚以来、ずっと自分で作っています。
新しい年が、活力にあふれ、市民の皆様の笑顔が輝く、希望に満ちた一年になりますよう心からお祈り申し上げます。
都市基盤の整備も重点課題
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