子ども科学館では現在、理化学機器の溶接を手がける(有)川本製作所(市内歌川)の企業展示が行われている。日本の精密溶接の第一人者である同社代表・川本勲さん(69)の溶接は業界から神業と賞賛されている。
製品やパネルを展示して、市民に科学に対する興味や関心を持ってもらおうと2009年から同館で行われているこの企業展示。これまでさまざまな企業や店を紹介してきた。
現在、同館のプラネタリウムで「HAYABUSA BACK TO THE EARTH」が投影中ということもあり、小惑星イトカワから採取された微粒子を分析する装置を溶接した川本さんの会社が紹介されることになった。会場では、川本製作所が実際に手がけた実験用装置などが多数並ぶ。一つひとつの製品には分かりやすい説明が添えられ、子どもでも理解できるよう工夫されている。
連日、会場にはとくに家族連れの姿が多く見受けられる。展示されている数々の実験装置には、川本さんの手による美しい溶接の跡を見ることができる。
川本さんは、はやぶさの分析装置のほか、02年に小柴昌俊さんがノーベル物理学賞を受賞した際の実験装置にも携わってきた。目視ができないパイプ内部の溶接部分を光と音の変化だけを頼りに見事なまでに溶接してきた。全国の大学や研究機関などから年間80件を超える仕事の依頼が舞い込み、溶接業界では「神の業を持つ男」と称され、精密溶接で右に出る者はいないと言われている。
企業展示を通じて「高度成長を支えた日本人のものづくりに今一度目を向けてほしい」と川本さん。会場を訪れる子どもたちに対しては「より早く将来の夢を見極めて、その道を突き詰めていってください」とエールを送った。
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