小稲葉地区の「いせはらあやめの里」では紫色の花しょうぶが咲き、訪れた人たちを楽しませている。6月8日(土)からは「第25回あやめまつり」も開催され、市内外から多くの人が訪れる。伊勢原の名所の一つとも言えるあやめの里は、郷土愛で栽培を続けている地元住民たちによって支えられている。
あやめの里は「かながわの花の名所100選」の一つに数えられ、園内にはおよそ200種・1万2千株の花しょうぶが咲く。昨年は4月に寒い日が続き、開花が例年より1週間ほど遅れたが、今年は暖かい日が続いたことや5月にまとまった雨もあり、6月はじめには見ごろを迎えそうだ。
花しょうぶの栽培が始まったのは1985年。減反政策による水田転作がきっかけだった。この地域は大山、富士山を同時に望める絶好のロケーション。当時の故永井市長が大山に次ぐ名所をつくろうと考え、柏木兵一さん(82歳/写真右)ら地元農家20人ほどで栽培を開始したのが最初。
現在、栽培を行っているのは農家4軒と、市みどりのまち振興財団。栽培に携わる人の減少にともない、全盛期は400アールを誇った耕作面積も、今では80アールにまで減少している。里の管理は市が財団に委託している。
当事者の高齢化が一番の理由。夏や冬場の除草、消毒、植え替えなど里の維持・管理は通年にわたるため、当事者にとっては体力の面で年々厳しくなる。同時に、跡継ぎの不在も問題を深刻にしている。
なぜ、若い世代が里を引き継ごうとしないのか。
栽培にあたっては市から補助金が出る。補助額は面積10アールに対して20万円。一昨年度までは25万円だったが、財政状況の悪化から減額された。だが、実際には30万円ほどかかると指摘する声もある。
それでも続ける
「この土地が好きだし、今までやってきたから、体力がもつ限りは続けていきたい」―。兵一さんは笑顔でこう語る。市農業振興課では、今年から当事者間の話し合いの場を設置した。同課の高橋健一担当は「あやめまつり後に、農家の方たちの意見をしっかりお聞きし、補助のあり方や後継者の教育などを検討していきたい」と話す。
見頃は6月中
今年のあやめまつりは、期間が例年の2週間から1週間に短縮された。同課によると市の財政難が原因だという。兵一さんは「花を楽しみにしてくれる人がいるから頑張っています。まつり後もぜひ見に来てください」と呼びかけている。
まつりは6月8日(土)から16日(日)まで。会場では花しょうぶや農産物の販売、NHK「趣味の園芸」講師の三池延和氏による花しょうぶの育て方教室などが行われる。なお、花しょうぶの見ごろは6月いっぱい。
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