教室うしろの壁に取り付けられた扇風機（比々多小学校）
今夏、伊勢原市内すべての公立小中学校の教室に、扇風機が設置された。ここ数年は夏の猛暑もあって、教育現場からはエアコンや扇風機を望む声もあがっていた。取り付け工事は６月に始まり、９月上旬には大田小学校で最後の工事が行われ全校で設置が完了。これは奉仕団体などの寄付を活用して行われたもので、行政の対応の遅さを市民がカバーする格好となった。
扇風機の設置は、伊勢原小学校の取り組みが発端となった。同校がベルマークを活用して扇風機を購入したことを市が今年５月に確認。また伊勢原小・高部屋小・成瀬小・大田小・竹園小では以前からＰＴＡ会費などで独自に扇風機を設置していることも分かった。
そこで市は、全校の教室に扇風機を取り付けることを決定。５月下旬ごろから市内の奉仕団体などに声をかけ寄付を募ったところ、12の団体と市職員から１４６万円が集まった。
設置については、各校が実情に応じて機器や取り付け方法などを決定。設置工事は６月に始まり、校舎改修で遅れていた大田小も今月完了。これで全小中学校の教室に２台以上の扇風機が設置された。費用は３１３万円にのぼったが、不足分はＰＴＡ拠出金と市交付金でまかなわれた。
児童数が多い比々多小学校では６月末、黒板の上と後方の壁に扇風機が取り付けられた。授業中も扇風機は稼働。児童たちは今まで以上に授業に集中できているという。
６年生の上原晴美さんは「教室に扇風機が付けられたので、授業中涼しくなり勉強しやすくなりました。とても良かったです」と笑顔を浮かべる。
予算見直し進まず
今年３月までに厚木・秦野・平塚の近隣市では扇風機やエアコンの設置が完了していた。一方、伊勢原市では対応がなかなか進んで来なかった。
市教育総務課では、毎年11月の予算編成にあわせて扇風機設置の次年度予算を要求してきた。昨年は小学校１〜３年の教室に扇風機を４台ずつ置く予算として２７２７万円を要求するも、校舎の雨漏り改修などが優先され通らなかった。
今回、寄付金を活用して行われた扇風機の設置事業にかかった費用は、同課が昨年の予算編成時に要求した額の１割程度。しかし、同課では予算確保にむけた整備内容の具体的な見直しなどは行ってこなかった。これについて三浦芳晴施設担当課長は「行政の対応の遅れ」とコメントした。
三浦課長によると、団体等からの寄付はまだ集まっているという。市ではその財源を活用して、家庭科室などほかの教室にも扇風機を設置する方針だが、時期などは未定。
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