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共生社会実現の道探るVOL.3 「共創」が自立の道に パン遊房亀吉

社会

掲載号:2020年8月28日号

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丁寧な接客でパンを販売する
丁寧な接客でパンを販売する

 鵠沼海岸の一角にある「パン遊房亀吉」。就労支援B型事業所として運営し、病や事故などによる失語症や高次脳機能障害など、障害のある利用者が日々真心を込めてパンを製造・販売している。「利用者のやりたいことを形に」が実を結び、天然酵母や国産小麦を使用するなどこだわりのパンが大人気。2017年に市のふるさと納税の返礼品に選定され、以降パン部門の首位をキープするなど評判を呼んでいる。

 8月上旬の晴天の日、同所を訪ねると、「いらっしゃいませ」と通りがかりの人に明るく声を掛ける利用者の姿が見られた。同所の登録者数は約20人。あんぱんやカレーパン、食パンなど約30種類を、製造から販売まで手掛けている。

 そのこだわりは強く、製造過程では発酵の具合を確認するため午前6時に出勤する人や、客に味を説明できるようにと新作が出ると自ら購入し、味を確かめる人、常連の顔と名前を覚え、パンの種類と値段を暗記するなどそれぞれが得意分野を生かしている。モットーである「自分が食べたいパン、美味しいと思うパンを作る・売ること」。そのために熱心に腕を磨く姿はまさしく、”プロ”そのものだ。

 「みんなが作ってくれたパンが売れた時が最高」。販売を担当する森永華澄美さん(19)は笑顔を見せる。そのほか「お客さんからの『ありがとう』がうれしい」「仲間とのお喋りが楽しい」など、労働へ対するポジティブな言葉が次々とあふれる。管理者の鶴見武史さんは「強制しても意味がない。好きなことや楽しいことは続くし、やりがいを持って働くことができる。それが集まると大きな力になるし、美味しくて愛されるパンを作ることができる」と話す。

 一般的な障害者就労施設では、身体・知的・精神など障害の種類ごとに分けられることが多いが、ここではそうした垣根はない。それに加え、認知症の高齢者や子どもたちなども混ざり、地域の人々が日常的に出入り、自由に交流できる場にもなっている。運営団体の理事長・鈴木しげさんは「自分も含め、ここでは障害のある人が圧倒的多数。経理や面接・採用などもお願いしているし、皆がいないと成り立たない」と話す。利用者が「やりたい」と思うことを優先し、頼りにすることで、それぞれ自身の役割を、責任もって全うする。地域の皆でともに創る「共創社会」が、それぞれの自立へと繋がっている。
 

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