寝たきり状態にある重度障害者が視線入力だけでドローンを操縦するプロジェクトが村岡東の「湘南ヘルスイノベーションパーク」(湘南アイパーク)で始まった。ゲームのコントローラー技術を応用したもので、19日に公開テスト飛行を実施。ドローンを通じた就労機会の創出や社会参画に向けて、2024年の事業化を目指すという。
プロジェクトは筋ジストロフィー患者で都内に暮らす梶山紘平さん(36)の発案でスタート。元々ゲーム好きで手が不自由な人向けのコントローラーを利用しており、「現実世界でも何かを動かしたい。ドローンなら飛ばせるのではないか」と提案したことがきっかけになった。
これを受け、湘南アイパークに入居する障害者向けのバーチャルツアーを提供する「シアン」(東京都)と障害者向け機器を提供する「テクノツール」(同)が連携。梶山さんを交え、プロジェクトを本格始動させた。
この日は電動車いすに乗った梶山さんが端末に視線を送り、実際にドローンを操作。機体を10mほど上昇させ、前後左右に動かしたりホバリングなどを行い、離着陸の一連の動作を披露した。
テスト飛行後、梶山さんは「視線を固定する難しさはあるが、最新技術を活用することで可能性が広がる。多くの人に障害があっても社会参加することができると思ってもらいたい」と話した。
今後は実用化に向け、事業に協力するドローンメーカーを募る。道路や水道管などのインフラ点検や配達業務への従事を将来的な目標に、当面は世界に先駆けて重度肢体不自由のあるプロパイロットの誕生を目指すという。
テクノツールの島田真太郎代表取締役らは「将来的にはコントロールシステムの実用化と法制度への対応を経て、自宅のベッド上からドローンを操縦し、パイロット業務に従事することを目指す」とした。
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