ポストコロナ観光
湘南の代名詞、江の島。古来、藤沢を観光都市たらしめるこの場所で「歴史」に焦点を当てた観光事業が動き始めている。
江戸時代は伊勢や大山と並ぶ参詣地として名を馳せ、浮世絵の題材に幾たびも登場。徳川家康以降、代々の将軍も詣でてきた。
そうした背景を誘客に結びつけようと、昨年、市観光協会が試験的な取り組みとして、歴史をテーマにした観光ツアーを複数回実施。参加者らが家康の食事を再現した献立を食べたり、江の島の成り立ちを描いた「江島縁起絵巻」の説明を受けるなどし、好評を博した。市観光協会の湯浅裕一会長は「江の島は風光明媚で人々の心を惹きつける魅力がある。歴史そのものに興味を持つ観光客も多い」と手応えを口にする。
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新型コロナ禍前の2019年、市内の年間観光客数は1900万人を突破。新型コロナ禍で大きく落ち込んだが、22年には約1700万人まで回復し、市が念願とする2千万人が再び視野に入った。
この間、観光客の属性や傾向も変化。従来のインバウンド(訪日外国人観光客)の需要は落ち着いた一方、若者や家族連れが増え、近隣の観光地の魅力を見直す「マイクロツーリズム」も広がった。
こうした流れを受け、同年7月、藤沢の観光業に携わる事業者、団体、行政から成る「湘南藤沢活性化コンソーシアム」が発足。ステークホルダーが知見やノウハウを結集しながらポストコロナへの打開策を検討している。
昨年12月には江の島で最大の集客力を誇るイルミネーションイベント「湘南の宝石」に合わせ、島内と片瀬江ノ島駅を結ぶ無料のシャトルバスを運行。観光地と鉄道駅をつなぐ「ラストワンマイル」の移動手段を検証した。
バス運行の実施主体でコンソーシアムの一員でもある江ノ島電鉄事業部の村上聡さんは多様な交通手段を提供することについて「快適な空間や移動手段を提供することは地元や首都圏からファンを獲得し、引いては『住みたいまち』の機運を高めることにもつながる」と意義を話す。
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国内人口がピークを越え、観光需要が先細りする中、観光地間競争を生き抜く施策は欠かせない。観光客のニーズについて、市観光課は「求められるものは『オンリーワン』か『ナンバーワン』」とし、「今後は、藤沢ならではの唯一の魅力を地域住民と共創していくことが重要」と課題を見据える。
折しも市北部では一昨年、多様な自然環境が体感できる遠藤笹窪谷公園が開園。グルメや自然散策ができる民間の観光施設も生まれている。これらをつなぐツアー構想もあるといい、湯浅会長は将来をこう展望した。
「目標は年間観光客数2千万人だが、江の島だけでは限界がある。市全域で観光活性化の機運を高めていくことが必要だ」
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