アナログ作業にこだわるクリエーター
プラ版を切って、張って、曲げて、加工する。平面だった1枚のプラスチック板が立体物に変わり、それを組み立てて一つの作品に仕上げる――。パソコンなどデジタル作業は一切行わず、手書きのデザインラフのイメージを工具と工夫でミニチュアへと創り上げる”ものづくりの匠”小泉美紀さん(64)の工房(市内八重咲町)を取材した。
取材の日、小泉さんが作っていたのは新規オーナー向けに「街の電気屋さん」の陳列イメージを伝えるためのミニチュア店舗。パナソニックから依頼された仕事で、洗濯機など家電製品のミニチュアを制作していた。他にも日産自動車やアサヒビール、松坂屋など名の通った数々の企業から様々な依頼が持ち込まれる。
「アサヒビールの仕事は印象深かった」と話す小泉さん。アサヒビールが最初に稼動させたビールの醸造ポット1号機が廃棄されるため、ミニチュアにして残すという依頼だった。「プラ板でポットの曲線をキレイに再現するアイデアがなかなか見つからなくて大変だった」と当時の苦労を話すが、表情は生き生きしている。制作が大変であるほどやりがいを感じる、根っからのクリエイターだ。くべた薪や炎が燃える様も再現するなど、細部にもこだわった。
他にも再開発前の町並みを残すためのジオラマや、開発イメージを伝えるミニチュア、伊豆半島の城ヶ崎近辺を再現した鉄道ジオラマなど舞い込む仕事は多種多様。用途も企業紹介やプレゼン、イベント展示など様々だ。こだわった仕事ぶりに、再び依頼を持ち込む企業も多い。
忙しい仕事の合間を縫っては自分の作品も作っており、その代表作の一つが横浜から様々な文化が元気良く飛び出すイメージで作った「横浜遺産=左上写真=」。曲線が多いデザインを全てフリーハンドで切り出したため、制作に2ヵ月半かけた力作だ。新聞で取り上げられたのがきっかけでAPECで展示されたことがあるという。他にも商標を取得した「ちびラマ」や、「コロラマ=左上写真=」など様々な作品を生み出している。
設計図を引かずに制作する小泉さんのイメージを支えるのは、日々の観察。常にバッグにメジャーを忍ばせ、気になるものはすぐに寸法を測る。「ものづくりの原点である手作業には、デジタル作業では出すことが出来ない風合いや佇まいがある」と、アナログ作業にこだわり続ける小泉さん。「今は仕事が忙しいけど、いつかものづくりで平塚に元気を与えることが出来たら」と、今後の展望を語った。
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