身長163cm・体重80kgの体格と類まれな柔道センスで、全国大会での功績を数多く残している国府中学校1年生の佐藤琉絢君は、2024年の五輪出場を目指す少年柔道家だ。フランスへの柔道留学を経験するなど、「お家芸」の次代を背負うべく稽古に汗を流している。
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2008年の北京五輪。テレビに映った選手が内股で相手を倒した光景を、今でも良く覚えている。「自分も柔道で一本を取りたい」と、幼稚園生のころから茅ヶ崎市の柔道場に通い始めた。
当時から体格は群を抜いていたが、心技体でぶつかり合う武道の世界は甘くなかった。試合に負け、周囲と口を利くことをためらうほど悔しさをにじませることもあった。「昔から気が強くて負けず嫌いな子でしたから」と母の深雪さん。勝負にかける強い思いが、上達を後押ししたと見る。
現在は、小学校4年生から所属している朝飛道場(横浜市)で稽古に励む。リオデジャネイロ五輪男子100kg級代表の羽賀龍之介選手を輩出するなど、名門として知られる道場だ。昨年9月には、少年柔道大会の最高峰とされる「マルちゃん杯全日本少年柔道大会」に道場の団体戦副将として出場し、100kgを超える相手を抑え込みで沈め優勝に貢献。実績が評価され、今年3月の大磯町スポーツ表彰選手にも選ばれた。
稽古にはほぼ毎日参加し、帰宅時間は夜11時を回る。宿題は学校の休み時間に終わらせるなど、柔道最優先の日々。稽古の辛さや同級生と遊ぶ時間の少なさに弱音を吐いたこともあったが、「そんな時は、自分がなんで柔道を始めたのかを思い出すんです」。真剣勝負の先にある勝つ喜びが、艱難辛苦を乗り越える糧になった。
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国際的な柔道感覚を養おうと、昨年11月と今年3月に柔道留学のためフランスに渡った。「向こうの選手はすごくパワーが強い。身長も高いから、日本と違ってどんどん間合いをつめてくる感じ」と、日本を凌ぐほどの人気を誇るフランスの「JUDO文化」に触れたことが、自身の戦術眼を養うきっかけになった。
留学を機に、フランス文化への興味も芽生えた。帰国後はフランス語の習得に挑戦。語学教室の講師と冗談を交わせるまでに上達した飲み込みの早さには、母の深雪さんも驚いたという。
リオ、そして東京の先にある2024年の五輪開催時は21歳。柔道家を志すきっかけとなった「五輪での一本」の舞台は、まだまだ遠い先にある。高校、大学の進学先を問うと「あまり柔道が強くない学校に行って、自分の力で有名にしたい」。大言壮語ではなく、夢をつかむためのステップと捉えている。
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