中井町の農村環境改善センターで26日、ジェンダー(社会的・文化的性差)の専門家で関西学院大学客員教授の大崎麻子さんが「男女共同参画と地域防災」をテーマに講演した。
大崎さんは国連開発計画の元職員で、途上国の男女共同参画や女子教育の普及、災害復興などに携わった。東日本大震災後は被災地の女性支援にも取り組んでいる。
講演では、阪神大震災やスマトラ沖地震などの自然災害を例に挙げ、避難行動や被害状況に男女で違いがあることを説明。東日本大震災の発生時、男性は1人で避難するケースが多かった一方、女性は隣近所で声を掛け合い複数で避難する姿が目立ったことも伝えた。
被災者への聞き取りや現地調査などを基に、避難生活や復興期において生じる問題と課題についても報告した。避難所の運営リーダーや物資担当に男性が就いていたため、女性が必要とする物資を要望し、配布を受けることにためらいがあったという。
「電気がない暗い屋外に設置した仮設トイレは性暴力が起きる恐れがある。被害に遭っても訴えにくく、災害時は女性と子どもの安全に対する優先順位が低い」と大崎さん。一方、男性に目を向けると、責任者が肉体的にも精神的にも過大な負担を抱え込んでしまうことや、配偶者を亡くした父子家庭は母子家庭に比べて支援が少ないことなども問題という。
大崎さんは「発災直後の共助を機能させるためにも、ジェンダーの視点を入れた防災対策が必要」といい、方針決定への女性参加や女性リーダーの育成の必要性などを訴えた。
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