▼12月市議会に、水道料金15%引き上げの条例改正案が上程されている。試算では、秦野市内の4人暮らしの標準世帯で1カ月あたりの水道料金が、現行2160円から490円上がり、2650円になるという。秦野市の水道料金は、現時点で県内で最も安いが、15%値上げされると、南足柄市に抜かれ、2番目になるという。市は「それでも県内2番目の安さだ」と主張するが、市民感覚からすると、15%の値上げは決して小さくない。「秦野は水が安くて美味しい」という、大きな魅力のひとつを損なってしまわないだろうか。
▼値上げの理由は水需要の落ち込みだ。景気低迷と、市民の節水意識の高まりや節水機器の普及により、企業や個人の水需要が下がった。市は「企業の水需要は底を打った感はあるが、人口減少傾向などにより、家庭用水需要はさらに低下するのでは」と予測する。
▼そうした状況下、納期を過ぎても納付されない水道事業会計の未収金は、2014年度の決算ベースで2億3665万円にも上る。前年度から4131万円減らしているものの、未だに水道事業に重くのしかかる。今年度の水道事業会計は、当初予算でおよそ8800万円の赤字予算を組んでいる。単純計算に過ぎないが、未収金の半分でも回収できれば、赤字を賄うこともできる。値上げ理由を「より公平な受益者負担」というのであれば、未収金の回収を最優先すべきだ。
▼市では独自に水道事業を行う一方、県営水道からの分水、いわゆる県水を一部に利用している。県水は、1970年に市から県へ分水を依頼したのが始まり。宮ヶ瀬ダムなどの建設、維持・管理の経費のほか、県水を受水する経費として支払うもので、今年度は5億9880万円を支出する。この額は今年度の水道事業会計の支出予算24億1500万円のおよそ4分の1にあたる。この契約では1日あたり42900㎥の水道水を受水できるものの、実際に2014年度は12803㎥の利用に留まった。およそ3割程度しか活用していないのが現状だ。受水量を減らすよう、努力をするべきではないか。今年10月の秦野市水道審議会による水道料金のあり方の答申でも「継続して負担軽減に向けた要望などを行うべき」と記されている。市は「県企業庁との交渉は続けている」と答えるが、「取り組んでいる」という姿勢だけでは物足りない。具体的な成果が求められている。
▼更新時期を迎えた配水施設や水道管の耐震化は待ったなしだ。今回の値上げはそのための財源確保でもあるという。しかし未収金の問題や県水受水費削減などの課題を解決せず、値上げを求めるだけでは、到底市民の理解は得られない。値上げの前に、あらゆる手段を尽くすのが筋だ。今議会でも活発な議論が交わされることを望む。
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