高梨茶園(秦野市菩提1387)の後継者・高梨晃さん(30)が、2018年11月28日から12月2日までドイツの新ミュンヘン国際見本市会場で開かれた食品の展示即売会FOOD&LIFE2018に出展した。初挑戦した海外での展示会で、若き茶の伝道師は、秦野のお茶の未来を見つめていた。
高梨晃さんは高梨茶園の3代目園主・孝さん(60)の長男。高校卒業後、静岡県の研究所で茶づくりを学び、茨城県の農家で修業。2016年には全国手もみ茶品評会で1等4席に入賞した。晃さんの製茶の感性と技術には、父・孝さんも信頼を置いているという。
同園では秦野の豊かな気象の変化を生かして栽培から製造販売を行う。近年は生活形態の変化により国内市場で茶の消費が低迷する一方で、「はるみどり」等シングルオリジン(単一品種)の逸品を求める人や、健康志向の人が多く訪れ、海外からの引き合いも増えた。
欧州の緑茶市場成長に期待
「ドイツでこのお茶を販売させてほしい」。同園を訪れたドイツ在住の日本人女性から話があったのは5年前。和食が広がりつつあるドイツで、甘い中国茶が「Japanese Tea」ラベルで販売される現状があり、”本物の日本茶を広めたい”とのことだった。
2016年からドイツの高級レストランなどへ試験的に出荷を始めると「予想以上の評価を頂きました」。欧州での緑茶市場の成長を見据え、12万人超が来場する食品の展示会FOOD&LIFEへ参加することになった。
会場には世界各国の食品等を紹介する300のブースが並んだ。同園は長崎県の(有)茶友と共に「粋(iki)」というブランド名で出展。食に関心の高いヨーロッパの一般消費者の前で最高級緑茶を実演提供した。
通訳が付いてくれたが、直接自分の口で伝えたいと、この日のために覚えたドイツ語で積極的に話しかけた。茶碗を恐る恐る口に運び、生まれて初めて本場の煎茶を味わった人々の反応は「なんと表現したらいいか分からないほど素晴らしい!」と上々だった。
味わって飲んでもらえるように
「僕らにとって身近過ぎる日本茶を、新鮮味を持って飲んで頂けた事が嬉しかった」と晃さん。「秦野のお茶、うちのお茶の味わいがある。日本の人にも、喉の渇きを満たすためではなく、”味わって飲んでもらえるシングルオリジン”を作りたいと強く感じました」。東京五輪や新東名の完成のチャンスを生かせるよう、今後も新しいティーパックの開発や、生産者だからできるイベントの開催に力を入れていく。
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