秦野市在住の郷土史愛好家、石川又一郎さんがこのほど蓑毛の宝蓮寺(東島礼美住職)に、道永塚(どうえいづか、秦野市寺山と蓑毛の堺の県道近く)の石碑の拓本と漢文を読み下した冊子「秦野“道永碑”の読み下し解釈」を奉納した。
同碑には漢文で数百文字が彫られており、江戸時代中後期頃の宝蓮寺の和尚が記したものとされている。これまで漢文の読み下しが一定せず、200年間いろいろな解釈が行われてきたという。
石川さんは「道永塚についての資料初出は『新編相模国風土記稿』で1841年。碑の設立から70年後になるが、そこには『文字あれど漫滅す』と書かれている。なぜ解読できなかったのか謎です」と話す。
その後、現在までいくつかの解説書が出されているが、いずれも目視で文字を解読したものと見られており、碑にうどん粉をかけて読んだという例はあるが、拓本により解読した、と確定できるものはないという。
郷土史研究の一助に
「碑は年月の経過とともに摩耗が進み文字も読み難くなってきます。拓本が郷土史を研究する人の一助になれば幸いです」と石川さん。読み下した文字や石川さんの現代語訳などが収録された冊子は、桜土手古墳展示館や図書館にも寄贈される予定。石川さんはこれまで郷土史を中心に石碑の拓本を手掛けている。
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